昨日の朝日新聞に興味深い記事が載っていた。今年の4月からスペインの
マドリードにある国立ソフィア王妃芸術センターで31歳の若さで亡くな
った石田徹也(1973~2005)の個展が開かれているようだ。開幕
から7月の下旬までに31万3千人がみたというからすごい。関心を寄せ
ている石田徹也が海外で注目を集めていることを耳にすると嬉しくなる。
記事には出品された70点のなかから‘囚人’と‘回収’が紹介されていたが、
美術教師と一緒に‘囚人’をみた17歳の女子生徒は‘自分と同じ感情だ’と語
っている。2007年この絵を所蔵するCBコレクションがおこなったミニ
回顧展(16点)でみたとき、あっけにとられてみていた。男の生徒が
校舎に体をがんじがらめにされて横たわっている。極端でかなり過激な
表現だが、子どもたちを囚人に見立てるのはなるほどと思わせるところが
ある。スペインの女の子はわが意を得たりだったのかもしれない。
2010年に画家の没後5年に合わせて全作品集が出版された。喜び勇ん
で銀座の小さなギャラリーにでかけ購入した。石田は10年間で217点
の作品を生み出している。なかにはあまり長くみたくないものもあるが、
関心の強さはずっと維持されたまま。本物をみたのはこのときが最後だが、
こうして海外から石田徹也のホットなニュースが飛び込んでくると日本で
の回顧展を期待したくなる。
最初の出会いで石田徹也は‘日本のマグリット’だと思った。それを200%
実感させるのが‘燃料補給のような食事’。これは日本の現代美術に燦然と輝く
傑作。マドリードで出品されてるはずだが、みた人は同じ印象をもつにち
がいない。マグリットが生き返ってこれに遭遇したら裸足で逃げ
るだろう。