BS朝日の‘世界の名画 世紀末パリ ミュシャの旅’にとても気になる美術館がでてきた。名前だけはインプットされているカルナヴァレ美。場所はポンピドゥーセンターの右のほう。この美術館の少し先にあるバスティーユ広場は一度うろうろしたことがあるが、美術館のあるマレ地区は未開拓ゾーン。
カルナヴァレ美にある美術品の情報はほんのわずか、惹かれる絵画とか追っかけ画がここにあるわけではない。だから、今後パリを訪問することがあったとしても、ここへ足を運ぶことはまずなかった。だが、‘ミュシャの旅’をみて気が変わった。ここには驚愕するアール・ヌーヴォーの美の世界があった!
3年前堺市が所蔵するミュシャコレクションを展示するミュシャ展を体験し、ルビーやオパールが使われた‘蛇のブレスレットと指輪’を目を丸くしてみた。これはサラ・ベルナールのためにミュシャがデザインし宝石職人のフーケがつくったもの。フーケについての知識はここまで。この職人の店のことは番組をみるまで知らなかった。
19世紀末多くのセレブ客たちで賑わったに違いない‘フーケ宝飾店’、この店の入り口から内装、インテリアまでミュシャがすべてデザインした。そのアール・ヌーヴォーの殿堂と呼ばれた宝飾店が当時のままこの美術館に移築されていた!これはすごいものがあった。目を惹くのが中央の暖炉の上に飾られた羽を大きく広げる孔雀、その羽は色ガラスで装飾されている。
以前どこかの局で放送された美術番組に高級レストラン‘マキシム・ド・パリ’の2階にある‘アール・ヌーヴォー美術館’(レストランの直営)が登場し、ガレのつくったテーブル、ルイス・ティファニーのランプ、ガウディのデザインしたソファなどがでてきた。このとき、いつかここを訪れようと思ったが、これと同じくらいの衝撃を‘フーケ宝飾店’にも感じた。こういうときはすぐミューズに深い祈りをささげることにしている。アール・ヌーヴォー全開の魅惑の空間に身をおくことができますようにと。