Quantcast
Channel: いづつやの文化記号
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4042

フェルメール展 2500円はクレイジー!

$
0
0

Img_0001     ‘取り持ち女’((1656年 ドレスデン絵画館)

Img     ‘紳士とワインを飲む女’(ベルリン国立美)

開幕が迫ってきた上野の森美の‘フェルメール展’(10/5~2/3)、つい最近新たに1点が追加され出品作は全部で9点となった。この最後のピースがなんとも嬉しい絵、予想もしなかったドレスデン国立古典絵画館にある‘取り持ち女’。

2003年中欧を旅行したとき、ドレスデンの絵画館ではフェルメール(1632~1675)の‘窓辺で手紙を読む女’と‘取り持ち女’と会うのが楽しみだった。ところが、どういうわけか見たい度の強かった‘取り持ち女’のほうは姿を現してくれなかった。どこかの国で開かれた展覧会に貸し出し中とのこと。ガックリ!

この初期の風俗画色の強い作品を見逃したのは返す々も残念で二度目のドレスデンが頭をちらっとよぎるが、現状ではその可能性は低く幻の絵のままだろうなと諦めていた。だから、りカバリーが日本で実現することに喜んでいる。

この絵は来年の1/9から登場する。そのため、日時の予約は1月分がはじまる11/3以降にすることにした。いい情報が入ったのでめんどくさい時間指定の予約の仕方を知っておこうと上野の森美のHPにいくと、バッドニュースが飛び込んできた。

今回の入館料はな、なんと2500円!これは呆れた。上野の森美は前々から値段が高いことで好感度はよくなかったが、これでさらに低下した。高い人気を誇るフェルメールが9点、しかも初来日が3点もあるので1800円なら許容範囲。

それを平気で2500円もつける。クレイジー極まりない! 普通のブランド美術館の運営感覚からは大きく逸脱しており、フェルメールで大儲けしようとする本性丸出し。4ヶ月興行だから相当の利益をもくろんでいるのであろう。視聴率のとれないフジテレビ系の美術館がフェルメール展を開催すること自体が不幸のはじまりだった。

フェルメールが好きな人は多いからこれまで日本で行われたフェルメール作品がでてくる展覧会は皆せっせと足を運んでいる。だから、新規の作品が登場すれば心ははずむ。ところが、今回は3点をみるためには大変な出費がかかる。

今回ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵の‘赤い帽子の娘’は10/5~12/20しか展示されない。同じく初来日の‘紳士とワインを飲む女’は通期の展示だが、‘取り持ち女’は1/9~2/3。そのため、3点全部目に焼きつけようとすると2回出動しなくてはならず5000円かかる。

コアなフェルメールファンならこのコストはなんともないだろうが、普通の絵画好きなら‘フェルメールには関心があるが、2500円も5000円もするのならやめとこう!と思うにちがいない。隣の方もフェルメールはいっぱいみたからパスすると、言っている。

本来ならビッグなイベントとして大いに盛り上がるところだが、これだけ料金が高い上にめんどうな日時予約があるため客足は意外に伸び悩む可能性がある。フェルメール展はこれまで何度も行われており、また海外旅行をして本物を見た人も増えているので、この条件だと観客の伸びしろはそれほど大きくない。マーケティングセンスが悪いフジテレビ系の上野の森美だから美術ファンの心が読めずにいる。つくづく不愉快なことをするなと思う。



Viewing all articles
Browse latest Browse all 4042