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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! プラド美 その十四

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Img  ラ・トゥールの‘ハーディガーディを弾く盲人’(1610~30年)

Img_0003     ブーエの‘敗北した時’(1624年)

Img_0002     レンブラントの‘アルテミシア’(1634年)

Img_0001     ティエポロの‘アブラハムのもとに現れた天使たち’(1770年)

美術館へでかけて大きな満足を感じるのは好きな画家の絵が飾ってあるとき。嬉しいことにプラドでは思い入れの強いカラヴァッジョ(1571~1610)とラ・トゥール(1593~1652)に出会える。この二人を楽しめる美術館は3つしかない。ルーヴル、メトロポリタン、そしてプラド。

プラドが所蔵するラ・トゥールは‘ハーディガーディを弾く盲人’と‘手紙を読む聖ヒエロニムス’の2点。手元にいい作品があると回顧展の開催にも積極的になる。2016年の2月から6月にかけてここで超一級のラ・トゥール展が開催され、世界中から主要作品が集結した。画集で魅了された作品がいっぺんにみれたのだからテンションが上がりっぱなしだった。

シモン・ブーエ(1590~1649)はラ・トゥールとほぼ同時代を生きたフランスの画家。‘敗北した時’は時が流れて歳をとるのが嫌いな‘希望’と‘美’の女神が擬人化された‘時’に勝つという話が描かれている。時を演じるのは髭をはやしたサトゥルヌスで砂時計と鎌をもっている。二人の女神は‘私たちにはいつも希望がありはじける若さがあるのだからね、わかったでしょう、時のおじいちゃん’とかなんとか言ってるのだろうか。

オランダでさっそうと登場した天才レンブラント(1606~1669)の絵は豪華な衣裳と宝石を身につけた女性‘アルテミシア’、黒の背景に生感覚で描かれた人物が浮かび上がると思わず画面に惹きこまれる。こうしたかぎりない美につつまれるというよりは堂々とした姿の女性を描かせたらレンブラントの右に出る者はいない。

18世紀に活躍したヴェネツィア出身の画家、ティエポロ(1699~1770)は晩年にマドリードを訪問し、ここで‘アブラハムのもとに現れた天使たち’を描いた。みどころは天から降りてきた中央の天使の上半身が光をうけて輝いているところ。片方の足を上にあげているのでアブラハムもとに今駆けつけてきたという感じ。この動的描写が幻想的な雰囲気を醸し出している。


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