印象派やポスト印象派のコレクションで名をあげている美術館にはそれぞれ自慢の絵がある。美術本に必ず載っているのはそういう作品。METでまず思い浮かぶのはゴーギャン(1848~1903)の‘アベマリア’。ボストンのにある‘われわれはどこから来たのか、、、’を別格扱いにすると、この絵がMyゴーギャンのベスト1。はじめてみて以来魅了され続けている。
登場するタヒチの女性たちは西洋画の伝統である宗教画の役割を担っている。左端には青と黄色の羽をもつ天使、その横には手を合わせる二人、そして光輪をつけた聖母マリアと幼子キリスト。手前にバナナなどの美味しそうな果物が籠にどっさり盛られているのは南国の島らしい演出。
ゴーギャン同様、METに足を運んだ甲斐があったと思わせるのがスーラ(1859~1891)の点描画‘サーカスの客寄せ’、スーラについてはアメリカの画家かと錯覚するほどいい絵がアメリカの美術館におさまっている。代表作の‘グランド・ジャット島の日曜日の午後’はシカゴに、‘ポーズをする女性たち’はフィラデルフィアのバーンズコレクションン、そして‘サーカスの客寄せ’はここMET。ミューズのお陰で3点全部みれたのは幸運だった。
‘グランドジャット島’は行楽地なのに音が聞こえてこないのに、この‘サーカスの客寄せ’はトランペットやトロンボーンの華やかな音色が響き渡る。オルセーにある‘サーカス’とともに数少ない‘動の点描’なので目に焼きついている。
人気のゴッホ(1853~1890)は‘アルルの女 ジヌー夫人’が忘れられない。オルセーにある別ヴァージョンよりこちらに惹かれる。目が点になるのはゴッホはいつからマティスのフォーヴィスムに入ったのかと勘違いさせる緑の色使い。テーブルとそのうえにある本、そして夫人がつけているスカーフの緑を黄色の背景によって浮き上がらせる色彩感覚。ゴッホは天性のカラリスト!
静物画の‘アイリス’も心を奪われるとてもいい絵。アイリスの次の目標はまだお目にかかってないゲッティ美(LA)にあるもの。じつはLAはまだ足を踏み入れていない。早く出かけたいがいつになるだろうか。