ワシントンのナショナルギャラリーにはピカソ(1881~1973)が若い頃描いたいい絵があるが、フィラデルフィアで思わず足がとまるのは‘三人の音楽師’。とても大きな絵で三人のアルルカンがヴァイオリン、縦笛、アコーデオンを陽気に奏でている。
アメリカでピカソというと、NYのMoMAの‘アヴィニョンの娘たち’やグッゲンハイムのあるものがすぐ思い起こされるが、‘三人の音楽師’も忘れられない作品。このほかに2点みたが、そのひとつが珍しい花の静物画だった。ピカソがこんな絵がを描いていたとは!
ネオダダのラウシェンバーグ(1925~2008)はピカソのコラージュのように日常の風景を切り取った写真を自由に重ねて画面をつくっていく。‘地所’は200%即物的でTVに流れるニュースの断片を視覚がしっかりとらえていくような感じ。左の下に‘自由の女神像’がみえる。
オランダ生まれのデ・クーニング(1904~1997)は作品をみるたび関心度が増していく作家、惹かれるのは抽象的な形のなかに生気が感じられるところ。青と赤の布切れがひらひら舞っているイメージがするこの作品はダンサーの競演や疾走する野生動物の群れを連想させる。
あくまで夢の話だが、どこかの美術館で二人の女性画家の回顧展と遭遇することを願っている。アメリカのジョージア・オキーフ(1887~1986)と抽象表現主義で独自の画風を築いたヘレン・フランケンサーラー(1928~2011)。フランケンサーラーのしみ込ませ技法で表現された花や風景にはリアルな描写以上に心を癒す効果がある。