ウエイデンの‘聖母と聖ヨハネと十字架上のキリスト’(1460年)
ファン・エイクの‘聖痕を受ける聖フランチェスコ’(1440年)
アメリカの大きな美術館のなかで訪問に長い時間がかかったのがフィラデルフィア美。2013年1月ようやく夢が叶った。そして、2015年宗達の‘松島図’をみるためワシントン行きを決行したためまたこの美術館と縁があった。
団体ツアーに参加しアメリカ東海岸の旅を楽しんだ方はご存知のように、以前はフィラデルフィアでは‘自由の鐘’のあるところへ行くのがおきまりのコースでフィラデルフィア美に入るツアーは皆無だったが、最近は美術鑑賞が好評なのかここを訪れる旅行会社が増えてきた。
フィラデルフィア美の見どころはやはり印象派の絵画。美術の本に載っている傑作がここにもあそこにもあるという感じ。これに対し、古典絵画はメトロポリタンやワシントンのナショナルギャラリーと較べるとかなり差があり、足がとまるものは限られている。
だが、すごいのがひとつある。ウェイデン(1399~1464)の‘聖母と聖ヨハネと十字架上のキリスト’。これまでみたウェイデンで大きな感動をおぼえたのはプラドにある‘十字架降下’だったが、この絵も思わず声がでるほどの傑作、フィラデルフィアにこんないいウェイデンがあったとは!
ボス(1450~1516)のコレクションも美術館の自慢かもしれない。工房作を含めて4点くらいあった。手元のTASCHEN本に載っているのは‘この人をみよ’と昨年プラドで開催された大ボス展にも登場した‘東方三博士の礼拝’。アメリカでボスがみれるのは4つの美術館、そしてフィラデルフィアふだけが複数もっている。
ボス同様、貴重なのがファン・エイク(1390~1441)の作品、‘聖痕を受けた聖フランチェスコ’はトリノにあるほとんど同じ図柄の絵のさらに小さいヴァージョン。縦13cm、横15cmの小品なのでうっかりすると見逃してしまうが、チェックリストに入れてるのでしったり目にとまった。