会期が残り少なくなったサントリー美の‘狩野元信展’(11/5まで)に再度足を運んだ。出動が終わり近くになったのはお目当ての‘繋馬図絵馬’(10/25~11/5)の登場を待っていたから。これをみたので、元信は済みマークをつけられる。
今回、残念だったのが白鶴美にある‘四季花鳥図屏風’がでてこなかったこと。以前ここで絵巻展を開催したとき出品されたので、複製でエクスキューズということなのだろう。完璧な回顧展というのが理想だが、そううまい具合にはいかない。大仙院の‘四季花鳥図’を前後期に分けて全八幅すべてみれたのだから立派な元信展になった。
滝と大胆に曲がった松、赤の羽が印象深い鳥が描かれたこの二幅によって元信のイメージができあがっている。でも、これがいつも大仙院にでているとはかぎらない。はじめてここを訪問したとき、目に気合を入れて進んだら前期にでていたものが掛かっていた。ありゃー、みたいのはこれではないんだが、、、このリカバリーを果たしたのはつい1年前、東博で行われた‘禅展’。水墨と色彩の融合がじつにいい。もうみることはないと思いじっくりみた。
滝とか激流を目を見張らさせるほど上手く描くのは相当難しい。中国の絵を手本にしたとしても並の技量ではとても描けない。大仙院の滝や大和文華館蔵の‘奔湍図’をみると元信は天才だなとつくづく思う。
これまで絵巻展を数回体験し、嬉しいことに‘釈迦堂縁起絵巻’に縁があった。でも、みたのは画集によくでている僧侶が釈迦の像を背中におぶって山道を歩いていく場面ではなかった。展示替えというのは厄介、ようやくみることができ満ち足りた気分になっている。