国宝‘持国天立像(左) 多聞天立像(右)’(13世紀 奈良・興福寺)
運慶の父である康慶の仏像で最も有名なのは‘法相六祖坐像’、これは興福寺南円堂にあるが、ここに入ったかどうか記憶があやふや。南円堂は5月興福寺の前を通ったときたしか工事中という案内がでていたような気がする。北円堂同様、いつも入れるわけではないのでこの祖師像にはお目にかかってないかもしれない。
いずれの像も今僧侶と対面しているようなリアルさがある。お気に入りはぎょろっとした目が印象的な立膝の‘伝行賀坐像’とえらがはり強面の面構えについひいてしまう‘伝玄賓坐像’。運慶だけでなく父親だってこんなスゴイ彫像を生み出している。
同じく南円堂にある国宝の‘四天王立像’は誰の作かはっきりとわかってないが、運慶作とも考えられているのが手の位置により体全体に動きがでている持国天像と多聞天像。顔についた分厚い肉をみて水戸黄門役で有名な東野英治郎を思い出した。
満願寺にある‘観音菩薩立像’は大きなまゆ毛とはっきりした目に強い圧を感じ、しばらくみていた。これと隣にある‘地蔵菩薩立像’は運慶派の仏師がつくったとされる。運慶の‘阿弥陀如来坐像と両脇侍立像’とくらべると顔が少しきつい感じ。
興福寺の国宝館を訪ねるたびに強く目に刻まれるのが運慶の三男、康弁が手がけた‘龍燈鬼立像’ともうひとつの邪鬼像‘天燈鬼立像’。三角パンツをはいた龍燈鬼は燈籠を頭の上にのせがっと仁王立ち。短足で太い腿、龍がまきつく首はないにひとしく大きな顔、なんともユーモラスな邪鬼像、愛すべき2体に乾杯!