春の‘快慶展’(奈良博)に続き、秋の日本美術の展覧会の目玉‘運慶展’が東博で昨日からはじまった。会期は11/26まで。早速出かけてきた。2日目だからまだ混んでないと思ったが、10時半に入ったら予想以上に観客が集まっていた。この土日は大勢の人が足を運びそう。
過去運慶(?~1223)の彫刻をまとまったかたちでみたのは3回くらいあるが、一度にお目にかかれるのはせいぜい片手くらい。今回はそれを大きく上回る22体。最高の‘運慶展’といっていい。そのなかで一番の収穫は静岡の願成就院にある国宝‘毘沙門天立像’、これまで縁がなかったがやっとみれた。目の鋭さもさることながら弾力性のある丸ぼったい頬がこれほど主張する毘沙門天像はみたことがない。
一度みたことのある‘不動明王立像’は森の石松というか片目のジャックというか右目は半開き。じつに個性的な不動明王、背景の激しく燃え上がる火炎が明王の怒りをすさまじさを象徴している。不動明王の感情を人間臭くリアルに表現する運慶の力量に圧倒される。
どの彫刻も光をいろんな角度からあて細部までよくみえるようにしてあるが、その演出が最も効果的に思えたのが‘八大童子立像’、かつて京博で開催された‘空海展’で現存する6体と対面したが、そのときのイメージがだいぶ消えていたので、このライトアップのおかげで一体々じっくりみることができた。一番ぐっときたのは眉間にしわを寄せ思いつめたように前方をながめる‘恵光童子’。
兄の無著の人気が高すぎて世親の存在感はどうしても薄くなる。これは顔の白い部分が無著にくらべて少ないことも関係している。顔の表情はきつく意志は強そう。‘静の無著’に対して‘動の世親’という感じ。