7,8年前ウィーン美術史美とブダペスト国立西洋美にあるコレクションが一緒に公開されたとき、デューラー(1471~1528)がどちらからも出品されたが、期待していたものとちがっていた。
デューラーはヨーロッパにある大きな美術館、例えばルーヴル、プラド、ウフィッツイなどでいい絵をみることができるが一番充実したコレクションはウィーン美術史美、美術館が作成した図録(日本語版)の表紙に使われているのが‘若いヴェネツィア女性の肖像’、ここには色彩に絵の生命を求めたヴェネツィア派に学んだ成果がでており、現実感のある女性がみずみずしく描かれている。
数多く展示されていたデューラーのなかで最も心を打ったのが祭壇画の‘三位一体の礼拝’、三位一体を讃えている聖人と使徒が身に着けている衣装の赤と黄金色がまぶしいこと!デューラーというと自画像とかアダムとイブのイメージが強かったので目の前に現れたこの壮麗な宗教風景を言葉を失ってみていた。
クラーナハ(1472~1553)も印象に強く残る画家、西洋美に出品された‘ユディット’のもつ衝撃波は長いこと振動し続けているが、風俗画として楽しめる‘フリードリヒ賢明公の鹿狩り’もしっかり記憶されている。
そして、‘ロトとその娘たち’に描かれた女性の愛嬌のある容姿にも魅了されている。
アルトドルファー(1480~1538)の作品はミュンヘンのアルテ・ピナコテークにある‘アレクサンドロス大王の戦い’がすぐ思い浮かぶだけで、ウィーン美術史美の‘キリストの復活’をしかとみたという実感がない。次回のために用意している必見リストの上位に載せている。