海外の大美術館にある作品をいろんな角度から比較してみるのもおもしろい。例えば、西洋絵画で人気抜群のカラヴァッジョとフェルメールの作品を所蔵しているのはどの美術館か?二人が好きでたまらないという人はすぐ頭に浮かぶだろう。
4館ある。ルーヴル、ロンドンナショナルギャラリー、メトロポリタン、そしてウィーン美術史美。ウィーン美術史美にはカラヴァッジョ(1571~1610)が3点、フェルメールが1点ある。どの絵もまだ日本にやって来たことがない。何年か前フェルメールの‘画家のアトリエ’が出品されるうわさがあったが、流れた。
3点あるカラヴァッジョのなかで見ごたえのあるのは‘ロザリオの聖母’、この絵は自慢のコレクションなので回顧展にもあまりでてこない。2010年ローマであった大カラヴァッジョ展では残念ながらお目にかかれなかった。まだ2回しか対面できておらず、最後にみたのは14年前のこと。もう一度じっくりみたい。
ローマバロックの有名な建築家として活躍したコルトーナ(1596~1705)は絵画の腕前も一流だった。ここにある‘ハガルの帰還’は真ん中に立つアブラハムの着ている衣装の赤が印象が強烈。コルトーナの絵はみる機会が少ないのでよく記憶されている。
ナポリ出身のジョルダーノ(1634~1705)というと、ロンドンのナショナルギャラリーのある悪党たちをやっつける英雄ペルセウスを描いた大作とこの中国のサーカス団の演技を連想させる‘大天使ミカエルと堕天使’がすぐでてくる。感心させられるのはドラマチックな構図のとり方。これは一度日本にやって来たかもしれない?
プッサン(1594~1665)が得意とした歴史画のおかげで古代ローマの戦いにも知識が深まった。どの絵も兵士の激しい戦いぶりに目が点になるがこの‘ティトウス皇帝のエルサレム征服’では制圧される側の兵たちの悲惨な状況が強く胸に突き刺さる。