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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! ナショナルギャラリー その四

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Img  ブロンズィーノの‘ヴィーナスとキューピッドのいるアレゴリー’(1540~50年)

Img_0001     コレッジオの‘バスケットの聖母’(1524年)

Img_0003   パルミジャニーノの‘聖母子と聖ヨハネとヒエロニムス’(1527年)

ルネサンスのあとに生まれたマニエリスムの作品が多くみられるのはフィレンツェのウフィツィ美、ここでポントルモやサルト、ブロンズィーノたちをみてそのゾクゾクっとした画風の洗礼を受ける。くまのできた目とか不気味な微笑みをみてしまうとまたこの絵の前に立ったとき長くいるだろうか?とつい思ってしまう。

マニエリスムに対する正直な反応はこんなところ。でも、不思議な魅力を放っている絵がないわけではない。ナショナルギャラリーにはベストワンといっていいものがある。ブロンズィーノ(1503~1572)の‘ヴィーナスとキューピッドのいるアレゴリー’、これは忘れられない一枚。

この絵で何が表現されているかを論じたら一冊の本が書けるかもしれない。描かれたモチーフの意味をひとつ々読み取るのは絵への好奇心を高めるが、知識の量はほどほどにして人物の配置や真ん中3人の白い肌の輝きに目をむけていると時間はすぐ10分を超える。

まず視線が向かうのは右の可愛い笑顔をみせるキューピッド、そしてその向こうでちらっと顔だけをみせている女の子。その存在は謎めいている。この二人を長い腕で覆うようにしているのが精悍な顔つきをした髭の老人。この男はなぜここに登場するのか?謎解きはいろいろふくらんでいく。

コレッジョ(1494~1534)にもマニエリスムの香りがするがそれほど濃厚ではない。‘バスケットの聖母’は小さな絵で一度しかみたことがないが、聖母のやさしさに満ちた表情に即魅せられた。また幼子イエスの愛らしいこと。海外の美術館では若い夫婦が赤ちゃんを乳母車に乗せて引っ張ているが、コレッジョの絵の前ではイエスがこの赤ちゃんと入れ替わってもおかしくない。

パルミジャニーノ(1503~1540)はマニエリストのなかでは別格扱いにしている画家。ウィーンの美術史美で運よく大回顧展に遭遇したので愛着度がさらに深まった。‘聖母子と洗礼者聖ヨハネと聖ヒエロニムス’は聖ヨハネのポーズがなんといっても強く印象に残る。こちらをじっとみすえ一段上のところにいる幼児キリストを示すようにその右手を曲げている。おもしろいのはパルミジャニーノの描く聖母はキツネ目になっているところ。


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