‘マグダラのマリア’(1533年 フィレンツェ ウフィッツイ美)
今年の8月から10月にかけて国立新美でアカデミア美が所蔵するヴェネツィア派の作品が公開されたが、この続きが来年はじめ東京都美である。チラシに嬉しさがこみあげてくる作品が載っている‘ティツィアーノとヴェネツィア派展’(1/21~4/2)。
ナポリのカポディモンテ美はティツィアーノのいい絵やカラヴァッジョ、ブリューゲルなど質の高い作品があることで有名な美術館、一度そのコレクションが日本にやって来たが、そのときはティツィアーノは‘マグダラのマリア’1点だけだった。
ところが、今回はそんなに貸し出してくれるの?というほど太っ腹、‘ダナエ’、‘教皇パウルス3世の肖像’、そして再来日となる‘マグダラのマリア’の3点がでてくる。だったら、もうひとつ‘パウルス3世とその孫アレッサンドロ、オッタヴィオ・ファルネーぜ’も加えてといいたくなるがこれは強欲というもの。
6月に訪問したマドリードのプラド美では駆け足でヴェネツィア派を楽しんだが、思わず足が止まったのがティツィアーノの‘ダナエ’とティントレットの大作‘使徒の足を洗うキリスト’、‘ダナエ’はこれまで幸運なことにウフィッツイ美とエルミタージュ美にある2つのヴァージョンをみた。
カポディモンテにあるのは最初に描かれたもので黄金の雨に変装したゼウスをダナエとともにみているのはキューピッド、このキューピッドがあとのヴァージョンでは老婆に変わっている。早くカポディモンテのものがみたい!
‘マグダラのマリア’については、ウフィッツイ美にあるものが第一作ではちきれんばかりの豊満な体をしたマグダラのマリアが画面いっぱいに描かれている。これにたいし30年くらい後に描かれたエルミタージュとカポディモンテにあるものはマグダラがすこし小さくなりまわりの背景にも目がいくような構成になっている。また、マグダラの目がうるうるになっているのも大きな違い。