年に2,3回はやきものの展覧会をみに出かけているが、今年は石黒宗麿展(松濤美)と宮川香山展(サントリー美)をみた。もう一回あるかなと思ってたら、伝統工芸展の情報が入ってきた。これまで日展や伝統工芸展にはとんと縁がないが、ここ数年熱心にみているBSプレミアムの‘イッピン’の影響で伝統工芸展に心が向かっている。
昨年末にみた十三代今右衛門(1926~2001)の回顧展は今も余韻が残っているほど充実した内容だった。十三代の作品はとても品が良くできあがっているので青や緑の色が強いのにやさしさ、優美さ、そして幽玄なイメージが浮かんでくる。この‘色絵薄墨紫蘭文鉢’は能の世界に引きこまれそう。
藤本能道(1919~1992)の作品は絵に描かれた花鳥画をみているような気になるのが特徴。絵画的にみせるためによく使われるのが四角筥、川のほとりの草木にとまる翡翠には強い存在感があり掛け軸をみているのと変わりない。
こうした絵画的な絵付けに対して明快なデザイン性が目を楽しませてくれるのが曾田雄亮(1931~2015)の‘練込時雨シリーズ’、軽やかな流れを感じさせる模様をまとったカップや水入れは明るい食卓にはもってこいのアイテム。卓越したデザイン力を発揮する人はいつも尊敬のまなざしでみている。