絵画をみていて嬉しさがこみあげてくるのは日頃気になっていた作品が突然目の前に現れたとき。工藤甲人(1915~2011)の‘夢と覚醒’はそんな思い出のある作品。出会ったのは2006年に訪問した青森県美。棟方志功の肉筆美人画を楽しんだあと気分よく隣の部屋へ移動したらこの絵が飾られていた。
シュールな感覚でちょっと不気味さもただよう一風変わった日本画なので一度みたら忘れない。だが、個人の所蔵ということがインプットされているので作品の分類としては‘見たい度は強いが鑑賞の可能性は小さい’グループに入っている。その絵が目に前にある。枯木のほこらからこちらをじっとみている女性にくらくらしてきた。また上のほうにも女性が眠っており、そのまわりを蝶が飛んでいる。洋画家のシュール画より断然こちらに惹かれる。
西洋画家が描いた花の絵というとすぐ思い浮かぶのがゴッホのひまわり、そしてルドンやキスリングの色鮮やかな花々、岡鹿之助(1898~1978)の‘献花’はルドンやキスリングのものとイメージが重なるよ。いくつかある献花のなかでこれが花の数が多く最も華やか。大きな部屋にはこういう絵があう。
萩焼の人間国宝、三輪休和(十代休雪 1895~1981))は弟の壽雪(十一代)とともに‘休雪白’と呼ばれる純白の釉薬をつくり、これがみどころの豪快な水指を生みだした。萩焼のなかでも新しい作風に挑戦し続ける三輪家の作品に大変魅了されている。