4月末から国立新美で開催されている‘ルノワール展’、閉幕(8/22)が近づいてきたので足を運んできた。1ヶ月くらい前?、入館者が30万人を突破したことをニュースで知っているので、館内は相当混んでいると予想していたが案の定大勢の人がいた。とくに目立ったのは親子連れ、印象派展を数多くみてきたがこれほど子どもたちの姿をみたのははじめて。夏休みに入ってどっと増えたのではなかろうか。
この大ルノワール展の情報を得てから美術好き人におおいにPRしてきたのが‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会’、オルセーを4か月も離れて日本で多くの西洋画ファンの目を楽しませてくれているのだから、もう大事件といっていい。
ルノワール(1841~1919)の全作品のなかで最も好きなのはこの絵。元来風俗画に魅せられているのでこういうにぎやかな場所を舞台にした群像描写をみると心が浮き浮きしてくる。もう一点同じような気分になるのがワシントンのフィリップスコレクションにある‘舟遊びをする人たちの昼食’、この2点がルノワールの最高傑作、どちらも日本にやって来てくれたのだから、日本は本当に美術大国。
風景画のお気に入りは‘草原の坂道’、モネにも母子が描かれた似たような絵‘アルジャントゥイユのひなげし’がある。明るい日差しのなか緩い坂道を降りてくる母子の顔がだんだんはっきりみえてくる感じ。この動感描写によりライブな感覚を生みだされている。
今回はオルセーとオランジュリーにあるルノアールがほとんどやってきている。出し惜しみ一切なし、ルノワールの傑作全部みせます、お楽しみあれ!といった感じ。だから、この展覧会をみたらルノワールの真髄が体に沁みわたる。見ごたえのある縦長の作品‘田舎のダンス、都会のダンス’も傑作、顔の表情が嬉しさに満ちみちている‘田舎のダンス’のモデルは後にルノワールの妻になるアリーヌ・シャリゴ、この笑顔はじつにいい。
ルノワールは‘ピアノを弾く少女たち’を数点描いているが、どれも魅力にあふれるいい絵だがあえて順位をつけるとオルセーにあるものが一番。とくにじっとみてしまうのがピアノを弾いている少女の金髪、服の白と金髪のコントラストにうっとりさせられる。
満足度200%の超一級の回顧展だった。ミューズに感謝!