クリムトの‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’(1907年)
5番街にあるノイエ・ギャラリーに関する情報がぐーんと増えたのは11年10月に放送されたBSプレミアムの美術番組‘極上美の饗宴’。おかげでギャラリーのある場所がイメージできた上、ここにあるクリムトは‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’だけでなくほかにも2点あることがわかった。
ここへ是非とも足を運ぼうと思ったのはクリムトが3点もみれるから。でも訪問できる日は月曜日、だから開館してないだろうと半分あきらめていた。ところが、前日のNY観光を案内してくれた現地の男性ガイドさんに休館日を調べてもらったら、火曜&水曜だった。これは運がいい。開館時間は11時(夜6時まで)なので目と鼻の先にあるグッゲンハイムをみたあと寄ればいい。
好きな画家のことゆえ知ってることはもらさず伝えたくなる。ギャラリーは地下鉄4・5・6線86ST駅の前の通りを5番街に向かって7、8分歩くと到着する。ここからはMETへもグッゲンハイムへもすぐ行ける。館内に入ると料金は心づけでいいという。館全体が2月4日新装オープンする美術館のため準備の真っ最中、公開されているのはクリムトの作品が飾られている部屋だけ。急いで2階へ上がった。
ありました、ありました!クリムトの絵が、予定では3点だったが、なんと6点も、ええー、こんなにクリムトがあるの!もう天にも昇るような気分。そしてビッグなオマケがシーレ。これはたまらない。クリムトはここに紹介する3点、プラスTVで知った‘アッター湖畔ヴァイセンバッハの森番の家’(1912年)、‘カンマー城の公園’(1909年)、‘高いポプラの木’(1906年)
以前ウイーンでみたことのある‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’の前ではどうしても2006年に落札された金額155億円のことが頭にちらつく。ウィーンの人たちにとってはこの黄金に輝くクリムトの傑作がベルヴェデーレ宮殿から姿を消したことは残念でならないだろうが、NYへよく出かける美術ファンには楽しみのスポットがひとつふえたことになる。
初見の5点をこころゆくまでみた。とくに長くみていたのは赤が印象的な‘踊り子’と魅力溢れる肖像画‘黒い羽毛の帽子’。そして、シーレの‘緑樹に囲まれた町’にも200%魅了された。わずか7点の鑑賞だったが、忘れられないノイエ・ギャラリーになった。NYへまた来ることがあったらもう一度行ってみたい。