バーナード・リーチの‘白地影絵飛燕文皿’(アサヒビール大山崎山荘美)
浮世絵の役者絵というと普通は舞台で演じている姿を描いたものだけれど、たまにその役者が芝居の前楽屋にいるときのを様子を描いたものがある。伊東深水(1898~1972)の‘春宵(東おどり)’も出番前の出演者たちが化粧をしたり着る衣装を整えたりしている様子をスナップショット的に表現したもの。
芝居好きなら贔屓の役者に差し入れをするために楽屋に足を運ぶことはよくあるだろう。パトロンにはなれないが楽屋に顔を出したがるパトロンの気持ちはよくわかる。芸に秀でた人間が舞台でみせる表情だけでなく楽屋にいるところもちょっとのぞいてみたい、そんなことを思うようになったらもう一ファンの領域を超えたところにいる。
棟方志功(1903~1975)の版画に魅せられて久しいが、‘華狩頌’をみるのは大きな楽しみのひとつ。左右に勢いよく疾走する馬に乗った人物の身振りが生き生きしており、一度みたらその姿は忘れられない。画面は人馬のほかに鳥や花びらでうめつくされているがビジーな感じはせず、白黒の装飾模様は心地よい色彩の香りまでも想像させる。
日本人以上に日本の四季の移ろいや生き物たちの生命力を深く感じている外国人芸術家がいる。バーナード・リーチ(1887~1979)もそのひとり。やきものの絵付けは簡単そうで大変難しい。それはモチーフをシンプルに描くのができそうでできないから。この皿の燕は本当にうまく描けている、まさに燕が軽快に飛び回っている感じ。