2008年シカゴ美を訪問したときビッグな特別展に遭遇した。それはこの美術館が所蔵する自慢の絵‘夜ふかしをする人たち’を描いたホッパーの大回顧展、これによりホッパーがぐんと近くなった。やはり画家の回顧展には大きな楽しみがある。
今、期待して待っているのは女流画家オキーフ(1887~1986)の回顧展、勝手に頼りにしているのはBunkamura、何年か前レンピッカの作品をたくさん集めてくれたから、この次はオキーフと決めている。アメリカの美術館でオキーフを数多くみたのはメトロポリタン美、そして、シカゴ美、ワシントンのナショナルギャラリー、フィラデルフィア美でも1,2点みることができた。
今回ボストン美でお目にかかったのは4点、そのなかに引き込まれるのがあった。‘鹿の頭蓋骨とペダーナル’、前の日にMETで定番の牛の頭蓋骨を描いた‘赤、白、青’をみたばかりだから、この絵に敏感に反応。鹿の頭蓋骨いうとまだ縁がないが、ホイットニー美にいい絵がある。この絵をみたのでホイットニーにある作品がみれなくてもいいかなと思えてきた。
花の形を画面いっぱいに写実的に描いた抽象画シリーズの一枚である‘白いバラとヒエン草’は美術館の図録で紹介されており、日本にもやって来た。現地でみるのははじめて。この作品をみるとモチーフを巨大に描くと抽象的な画風になることがよくわかる。
ヨーゼフ・ステラ(1877~1941)の‘古いブルックリン橋’はとてもインパクトのある作品、スペースチックで不気味な未来空間がここに出現している感じ。タイトルから受けるイメージとはかなりギャップがあるが、意図してズレの緊張感を狙ったのかもしれない。
METで必ずお目にかかるのがデイヴィス(1894~1964)の明るい色彩を使って街の光景を記号的に表現した作品、ボストン美にもミロの絵をぐっとモダンにしたかのように思わせる‘熱い都市の風景’があった。図版では目に焼きつけていたが、本物はずっと明るく都市の活気やテンポの速さを感じさせるものだった。
これで今回のアメリカ美術館めぐりの感想記は終了です。お楽しみいただけたでしょうか。