メトロポリタン美で一番人気があるのが2階の左手にある19世紀ローロッパ絵画、目がくらむばかりの名作がここにもあそこにもあるという感じだが、2008年と2013年、目に気合を入れてみたので今回は気持ちに余裕がある。それでもぽつぽつと新規の作品が現われるので気は抜けない。ドニとホドラーのいい絵があった。
またみれて素直に嬉しいのがバーン=ジョーンズ(1833~1898)の‘愛の歌’、ロセッティとバーン=ジョーンズは一点でも多くみたいお気に入りの画家なのでこの絵の前に立つと毎度カメラのシャッターを押している。METのあとボストン美でも‘希望’と再会したから機嫌がいい。
収穫が多かったのは19世紀ヨーロッパ絵画のむこうとその下の1階にある20世紀美術。駆け足に近い鑑賞スタイルだが、足がとまる作品がいくつもでてきた。ここはグッゲンハイム美?と一瞬思ったのはマルク(1880~1916)の‘牛の戦い’、ここにこんないい牛の絵があったなんて、2頭の牛の赤の強烈なこと、マルク万歳!と心のなかで叫んだ。
もう一点サプライズの作品があった。デルヴォー(1897~1994)の‘セイレーン’、マルク同様、ここでデルヴォーに遭遇するとはまったく想定外。こういうときは道端で宝物を拾ったような気持ちになる。そして思った、メトロポリタンにはなんでもあるんだと。
ベックマン(1884~1950)の‘始まり’はずっと追っかけていた作品、ようやく姿を現わしてくれた。これは10点ある3連画の一枚で子供のころの思い出が主題になっている。右のパネルからじっくり見るとおもしろい。先生が威厳をつくって上から見おろすように生徒たちをみつめている。中央で目を惹くのはシャボン玉を吹いているマネキン人形。