5度目の訪問となるメトロポリタン美、今回は館内には2時間くらいいた。3年前のときはアメリカ絵画と近現代アートに多くの時間を割き、ここにある絵画コレクションでみたい作品はだいたい目のなかにおさめた。そのため、手にもっている必見リストにリストアップしているの数点だけ。
まず、むかったのは絵画ではなくベルニーニ(1598~1680)の彫刻、‘バッコス祭’。前回ヨーロッパの彫刻作品が展示されているところは改修工事中、そのためベルニーニの大理石彫刻はみることができなかった。展示されているのは1階、レイアウトが変わっているので案内係に飾ってある部屋をピンポイントで教えてもらった。
子供たちがファウヌスにじゃれつくところを描いたこの群像彫刻を図録でみてから20数年経つが、ようやく像の前に立つことができた。アメリカでベルニーニがあるのはメトロポリタンだけ。神業的な技の冴えをじっくりみた。
このメインディッシュをみれたから気分がぐっと楽になった。次に足がむかう先はラ・トウール(1593~1652)の‘女占い師’、23年前一度みたが、2008年、2013年の2回とも空振り、どういうわけが姿を見せてくれなかった。だから、2008年以降ずっと消化不良が続いていた。
今度はどうだったか、一度みたら忘れられないあの老婆(女占い師)がいました、いました!詐欺やペテンを主題にして描いた作品ではカラヴァッジョ(1571~1610)の‘いかさまトランプ師’とこの‘女占い師’がMyベストワン。好きな絵をみるときはワクワクする。ニヤニヤしながらみていた。
その隣にあったのがラ・トウールのもうひとつの作品、‘マグダラのマリア’、この主題で描かれた作品は全部で4点あるが、この絵ではろうそくの炎が二つある。暗い部屋で膝の上に髑髏を置いているマリア、ろうそくの光に照らし出されるマリアの横顔と胸元がまるで発光体のように輝いていた。
METにあるカラヴァッジョは3点、‘合奏’はどのカラヴァッジョ本にもでてくるが、あとの2点は真作かどうか意見の分かれるところ。横で熱心にみていた男性も同じことを口にしていた。