日本画家を図録の数の多さでランキングをつけると横山大観、上村松園、東山魁夷、そして竹久夢二が上位にくる。これは何度も回顧展が開かれているということで画家の人気の高さを表している。
昨年秋、横浜高島屋で竹久夢二(1884~1834)の回顧展が生誕130年を記念して行われた。そのときの出品作は岡山にある夢二郷土美のコレクションンが中心、ここで一番のお気に入りが‘立田姫’。
真っ赤な着物を着た立田姫は首がちっとヘン。どくろ首のようにぐるっとまわってこちら向きになっている。たしかにこの農作物の豊作をつかさどる秋の女神の姿は人間離れしている、でもそれはあまり気にならない。この絵をはじめてみたときすぐイメージしたのは中島みゆき、だからいつもみゆき姫と会っているような気持になる。
菊池契月(1879~1955)の‘朱唇’にも心を奪われている。このちょっと微笑んでいる表情がじつにいい。NHKの大河ドラマに出演しした女優で思い浮かぶのは‘平清盛’があったとき静御前を演じた武井咲ちゃん。
小林古径(1883~1957)の‘髪’を所蔵しているのは永青文庫、画集に必ず載っているような有名な絵にはよくお目にかかれるものとなかなかみる機会がないものがあるが、この‘髪’は後者のほう。だから、まだ2回しか対面してない。髪は女性をイメージするとき大事な要素、そして長い髪は女性の美しさをいっそう引き立てる。この絵をみるたびに髪は女性の命なんだなと思う。
昨年2月、中村岳陵(1890^1969)のドキッとする作品に出会った。それは長い黒髪の女性が裸で川を泳いでいる場面を描いた‘婉膩水韻’、そしてすぐ頭をよぎったのが鏑木清方の人魚の絵。日本画家だからといっていつもおとなしい絵ばかり描いているわけではない。どの画家だって一枚や二枚は普通受けとめられているイメージとはちょっとズレるものがある。