ドーム兄弟の‘銀飾金具付花器(オダマキ)’(1898~1900年)
ガレの‘花器(カッコウ、マツヨイグサ’(1899~1900年)
情報の入っている展覧会のなかには出かけるかどうか最後まで迷うものがときどきある。今日は意を決して会期が9/6(日)までの‘アール・ヌーヴォーのガラス展’(パナソニック 汐留ミュージアム)に足を運んだ。
出品されているのはドイツのデュッセルドルフ美からやってきたガレやドーム兄弟などのガラス作品140点、チラシにはローロッパ随一のガラスコレクションと記されている。もともとガレやドーム兄弟のガラスと聞くと血が騒ぐ体質だから、行くかどうか悩む。
やはり汐留へ行こうと思ったのはドーム兄弟(オーギュスト:1853~1909、アントナン:1864~1930)のカタツムリがくっついている花器が気になってしょうがなかったから。この1点をみるため入館料を払った。ドーム兄弟のつくる花器というと森や林のなかに木々が立ち並ぶ様子をとても細い線で繊細に描いたものをすぐイメージするが、この‘ブドウとカタツムリはそれとはまったくちがいガレの作風を彷彿とさせる。
同じ種類の文様のものを箱根のポーラ美でお目にかかったことがあるが、今回目にするカタツムリのほうが5倍印象深い。このカタツムリはブドウの若葉を食べて育つエスカルゴ、この花器がチラシの大半を占めている意味がよくわかった。出かけたのは正解!
ドーム兄弟はもう一点気を惹くのがあった。オダマキのそばに蛇がいる花器、蛇は大の苦手なのだが、これまでのドーム兄弟のイメージからはとても想像できない蛇に遭遇しそのいきさつに思いをめぐらすあまり蛇の怖さを忘れてしまった。
数の多いガレ(1846~1904)はカッコウとマツヨイグサを組み合わせた花器に思わず足がとまった。こういう意匠はみたことがないので非常に新鮮、まるで日本の花鳥画をみているよう。そして、北斎の浮世絵に描かれた鯉を連想させる茶色の花器の前にも長くいた。デザインしたのはフランス人のウジェーヌ・ルソー、ジャポニズム満載の文様に見入ってしまう。