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Channel: いづつやの文化記号
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ズームアップ 名作の響き合い! 1990年

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Img_0004     フィリップ・スタルクの‘腰掛’(パリ ポンピドー)

Img_0001     キース・へリングの‘祭壇衝立’(NY ホイットニー美)

Img_0002     リヒターの‘森(3)’

Img    李禹煥の‘風と共に’(東近美)

海外の美術館では作品を見終ったあとミュージアムショップで図録を購入するのも楽しみのひとつ。だから、ここで本や絵葉書を買う時間を頭に入れて展示室をまわることにしている。

パリにあるポンピドーでゲットしたものは‘ポンピドー100選’(英語版 2002年)と‘ポンピドーセンター・ガイド’(日本語版 2002年)の二つ。‘100選’に選ばれている作品は幸運なことにかなりの数お目にかかることができたが、まだ姿をみせてくれないものもある。

そのなかでみたくてしょうがないのがフランスのスターデザイナー、フィリップ・スタルクが制作した‘腰掛’、青磁を思わせる色もぐっとくるがその斬新なデザイン力がじつに刺激的。スタルクの作品で知っているのはこれだけ。まとまった数をみると気分が相当ハイになりそう。それが実現することをミューズに祈っている。

エイズのため1990年に亡くなったキース・へリング(1958年生まれ)が最後につくったもののひとつがブロンズに金箔した‘祭壇衝立’。8年くらい前府中市美でホイットニー美展が行われたときお目にかかった。へリング独特の強い線で描写されたキリストや堕天使たちが深く心に刻まれた。

2005年川村記念美でリヒター(1932~)の回顧展をみて、このア―ティストに開眼した。ただし、魅せられているのは色彩が深く乱舞する抽象画のほうでピントをぼかした写真のような作品には心はむかっていない。このとき最も惹きこまれたのが‘森(3)’、ゲルマン地方の森のなかを歩いたことはないが、古代ローマ帝国とゲルマンとの戦いをテーマにした映画でみた光景がふと目の前をよぎった。

李禹煥(リ・ウファン 1936~)の作品は余白の芸術といわれている。‘風と共に’で描かれているのは組み立て式本棚の棚を支える錨みたいなものがひとつだけ。抽象表現ではモチーフが少ないほうがかえってインパクトがあることが多い。これはそんな思いに駆られる一枚。


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