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Channel: いづつやの文化記号
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心に強く刻まれた工芸の名品!

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Img_0003     ‘奈良三彩壺’(重文 奈良時代・8世紀 九州博)

Img_0002     鹿児島壽蔵の‘志賀島幻想箕立事’(1967年)

Img     黒田辰秋の‘赤漆流稜文飾箱’(1957年 東近美)

Img_0001     板谷波山の‘彩磁瑞花祥鳳文花瓶’(1916年 MOA美)

浮世絵同様、今年は工芸も年のはじめに大きな展覧会があった。60回をむかえる日本伝統工芸展を記念して行われた‘人間国宝展’(江戸東博)、今回は展示の仕方に工夫がなされ、人間国宝の作家の作品と一緒に古典の名品も展示された。

人間国宝の優れた作品をみるだけでいい気持になるのに、昔の名品も目を楽しませてくれる。この展示のおかげで実感されるのは日本の美がぎっしりつまった工芸では伝統の技と職人の魂がしっかり受け継がれており、人間国宝の作家たちはそこからさらにまた新たな名品を生み出していること。

初見で嬉しかったものがいくつもある。そのひとつが加藤卓男のつくった三彩の花器の横に展示してあった‘奈良三彩壺’、この重文を追っかけていたのでじっくりみた。

その造形にハッとさせられたのが紙塑人形の‘志賀島幻想箕立事’、購入した図録におもしろいことが書いてあった。志賀島の漁村では漁師は夜仕事をする。そのため夫婦のラブタイムは昼間、家の玄関に箕が立ててあるときは今はダメよという合図だった。この作品はその習慣を人形で表現している。

2月横浜そごうで開催された黒田辰秋の回顧展にはすばらしい作品が並んでいた。これまで民藝作家物語に欠けていたワンピースが黒田辰秋。これでコンプリートになった。魅了される木工作品が多くあるなかでとくに惹かれるのは目に焼きつく赤とそのモダンな造形が印象的な‘赤漆流稜文飾箱’。

没後50年の節目の年となった板谷波山、出光と泉屋博古館分館で回顧展があった。博古館にでていたものはまだみ残していたものが多く大きな満足がえられた。そして、久しぶりにみた名品もあった。MOA美が所蔵する‘彩磁瑞花祥鳳文花瓶’。大きく羽ばたく鳳凰の姿は見ごたえ十分。言葉を失ってみていた。


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