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Clik here to view. ホドラーの‘選ばれし民’(1893~94 ベルン美)
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Clik here to view. クリムトの‘ベートーベン・フリーズ 歓喜’(1902年 分離派館)
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Clik here to view. ホドラーの‘リズミカルな形’(1908年)
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Clik here to view. 山口蓬春の‘山湖’(1947年 松岡美)
ホドラー(1853~1918)という画家のことを思うときはすぐ二人の画家も顔を出す。一人はウイーン世紀末の画家クリムト(1862~1918)、もう一人は日本画の山口蓬春(1893~1971)。
クリムトが1902年に描いた‘ベートーベン・フリーズ’には明らかにホドラーの平行主義(パラレリズム)の影響がみられるが、この話を知ったのは10年前鎌倉にある行きつけの古本屋で手に入れた‘クリムト’(ネーベハイ著 美術公論社 1985年)という本。
1969年に上梓されたこの本にホドラーの代表作‘選ばれし民’が掲載されており、ホドラーとウイーン分離派の密接な関係が詳しく書かれいる。この絵は1901年の第12回分離派展に‘春’とともに出品された。この子どもを半円をつくるようにして囲む6人の天使に魅了され続けているがまだ縁がない。オルセーであった回顧展(2008年)では残念なことに展示されなかった。
クリムトの‘ベートーベン・フリーズ’の最後の場面が第9に呼応する‘歓喜’、抱き合う男女のむこうではパラレリズムで描かれた天使たちが‘喜びの歌’を大合唱している。まさにホドラーとクリムトは200%コラボレーション。
ホドラーの作品は1904年の第19回分離派展で大々的に紹介された。‘選ばれし民’、‘夜’、‘真理’など31点が一挙に公開されホドラーが国際的な評価を受ける突破口になった。
ホドラーと響き合ったもう一人の画家山口蓬春(1893~1971)、代表作である‘山湖’もみればみるほどホドラーの‘リズミカルな形’などの風景画が重なってくる。この絵が描かれたのは終戦の2年後の1947年、蓬春は1940年頃からホドラーに関心を抱いていた。
描かれた場所は初夏の裏磐梯の五色沼、蓬春はホドラーの作風に刺激をうけ明るい色彩でモダンな風景画に仕上げた。今年はホドラーの作品を沢山みたから、‘山湖’にもまた会いたくなった。