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Channel: いづつやの文化記号
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聖書から生まれた傑作アート! 東方三博士の礼拝

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Img_0003_20250204225801   ゴッツォリの‘東方三博士の旅’(1459~61年 リカルディ宮)

Img_0002_20250204225801   サセッタの‘東方三博士の旅’(1435年 メトロポリタン美)

Img_0004_20250204225801   ボッティチェリの‘ラーマ家の東方三博士の礼拝‘(1475~76年 ウフィツィ美)

Img_0001_20250204225801   ブリューゲルの‘東方三博士の礼拝‘(1564年 ナショナルギャラリー)

Img_20250204225901   デューラーの‘ロザリオの祝祭’(1506年 プラハ国立美)

フィレンツェはローマのような大きい街ではないので、どこへいくかが決ま
っていれば目的地へたどりつくのに苦労しない。でも、美術館、教会など見
どころはたくさんあるので一回の訪問ではルネサンスの絵画や彫刻の名品を
みつくすのは無理。メディチ家の邸宅のリカルディ宮へ行ったのは3度目の
フィレンツェのときだった。お目当てはゴッツォリ(1421~1497)
が礼拝堂の壁画を覆いつくした‘東方三博士の旅’の騎馬行列。白馬に跨る若い
博士は当時10歳をすぎたばかりのロレンツォ・デ・メディチ。装飾性にみ
ちた華麗な行列を息を呑んでみていた。

NYのメトロポリタンにあるサセッタ(1392~1450)はうっかりする
と見逃しそうな小品だが、じっくりみると強く印象に残る‘東方三博士の旅’。
平板的な描き方で三博士が右上から坂を斜めに下る軽快な行列に仕立ててい
る。上のほうに目をやると鶴の群れが空を横切っており、どこか日本画を連想
させるのがおもしろい。

ルネサンス絵画で幼児キリストの誕生を祝福する東方三博士の礼拝をはじめみたのはウフィツィにあるボッティチェリ(1445~1510)の作品。そのため、今でも目に焼きついている。ここには注文したラーマ家やメディチ家のひとたちがどどっと描きこまれている。幼子イエスの足先を支えているのは老年の博士に扮している国父コジモ・デ・メディチ、手前の左端にいるのがロレンツォ。そして、右端でこちらに視線を向ける人物はボッティチェリの自画像。この絵の構図がインプットされたあと、ブリューゲル(1525~1569)の描いたあくの強い戯画的な絵をみると、心はざわざわして落ち着かない。集まって来た群衆や兵士は三博士が捧げる黄金、乳香、没薬を目をまるくして見つめている。ボスの影響が色濃くでたブリューゲルである。

2003年、中欧を旅行したときプラハの国立美で衝撃度がマグニチュード7くらいある絵に遭遇した。それはデューラー(1471~1528)の‘ロザリオの祝祭’。画面の多くをしめる赤の輝きが強烈で立ち尽くしてみていた。これは2度目のイタリア訪問の際、ヴェネツィアで描かれたもの。大評判となり、ヴェネツィア市から御用画家になってくれないかと申し出があったが、デューラーはそれを断っている。


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