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Channel: いづつやの文化記号
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聖書から生まれた傑作アート! ヤコブ サムソン

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Img_0003_20250125234401    ゴーギャンの‘説教のあとの幻影’(1888年 スコットランド美)

Img_0004_20250125234501    レンブラントの‘天使と格闘するヤコブ’(1660年頃 ベルリン絵画館)

Img_0001_20250125234401    リベーラの‘ヤコブの夢’(1639年 プラド美)

Img_20250125234501    レンブラントの‘目を潰されるサムソン’(1636年 シュテーデル美)

Img_0002_20250125234501    ルーベンスの‘サムソンとデリダ’(1609年頃 ナショナルギャラリー)

これまで数多くの絵画をみてきたが、ときどきエポック的な鑑賞体験に遭遇することがある。そのなかには旧約聖書の物語を題材にした作品がいくつか含まれている。2010年の秋ロンドンを旅行したとき、1日団体ツアーから離れて美術館めぐりをした。喜び勇んで向かったのはゴーギャン(1848~1903)の大回顧展が開催されていたテートモダン。もっとも期待していたのが美術本でよくながめていた‘説教のあとの幻影’。これを所蔵するエディンバラのスコットランド国立美はとても遠く、本物に出会うのは難しいと思っていたが、運よくロンドンで回顧展が開かれたため思いの丈を叶えることができた。

この絵は明らかに浮世絵の影響をうけている。手前に大きくブルターニュの女性たちが描かれているのも、画面を横切る大きな樹木も広重の‘名所江戸百景’の描き方を彷彿とさせる。そして、樹の向こうで天使とヤコブが闘っている(北斎漫画の相撲の絵を参考にしている)場面は、彼女たちが教会の説教を聞いた話の幻影で目に見えない世界。聖書の話と浮世絵が結びついているのがとても興味深い。一方、レンブラント(1606~1669)の‘天使と格闘するヤコブ’では、ヤコブは必死に天使と組み合っている。これは日本で開かれた‘ベルリン絵画館展’で運よくお目にかかれた。この2枚でアブラハムの孫のヤコブと縁ができたが、3度目のプラドのとき追っかけリストに載せていたのがリベーラ(1591~1652)の‘ヤコブの夢’。これも記憶に強く残っている。

2002年、京博で忘れられないビッグな特別展が開かれた。京博のイメージは日本画の展示なのだが、なんと‘大レンブラント展’が登場したは。ワールドクラスのレンブラント展なので、一点々大興奮だったが、‘最高の瞬間’がやってきたのが‘目を潰されるサムソン’。フランクフルトにあるシュテーデル美からの出品された傑作である。この鑑賞以降、‘夜警’とこの絵をMy好きなレンブラントのNo.1に登録している。

昨年、旧約聖書‘士師記’の基づく古い映画‘サムソンとデリダ’をみて怪力無双のサムソンの物語をたっぷりインプットした。ロンドンのナショナルギャラリーにあるルーベンス(1577~1640)の絵に描かれているように、サムソンはペリシテ人美女のデリラの魅力に溺れてしまった。これが悲劇のはじまり、デリラに寝ている間に力の源泉である髪を切られてしまい、兵士たちに目をつぶされる。カットした髪をもち薄笑いを浮かべるデリラをみるとゾクゾクっとする怖さにおそわれる。


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