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Channel: いづつやの文化記号
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ミューズにとどけ追っかけ絵画! 速水御舟 小茂田青樹

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Img_20240927232301    速水御舟の‘葡萄と茶碗’(1920年)

Img_0001_20240927232301     ‘潮来所見’(1924年)

Img_0002_20240927232301     ‘秋茄子’(1934年)

Img_0003_20240927232301    小茂田青樹の‘薊’(1914年 三渓園)

Img_0004_20240927232301      ‘松江風景’(1920年 東近美)

絵画をみてサプライズがMAXになる瞬間は色彩が輝いている、描写の緻密
さが尋常でない、大きな画面の3つ。速水御舟(1894~1935)の
イメージはモチーフの質感描写がスゴイという印象でできあがっている。
たとえば、東博のある‘京の舞妓’をはじめてみたとき、描かれた畳が本物
そっくりに思え仰天した。そして、その感情がさらに高まるのが静物画。
これまで食べ物の柘榴、林檎、トマト、柿などの前では思わず手を出しそ
うになった。まだお目にかかってない‘葡萄と茶碗’も同じことをするかもれ
しれない。

御舟の風景画で大きなショックを受けたのは深い群青と緑青が幻想的な空間を生み出している‘洛北修学院村’。これに対し、‘潮来所見’は水面が霞がかかったような静謐な情景が強く印象付けられる。西洋画でいうとベルギー象徴派のクノップスが描いたブルージュの絵を連想させる。墨を使って描いた花の絵には牡丹や白芙蓉など大変惹かれるものがあるが、宙に浮かんでいるような錯覚を覚える‘秋茄子’が気になっている。

埼玉県川越市出身の小茂田青樹(1891~1933)は御舟の相棒的な存在で生き物のリアルな写実表現が目を楽しませてくれる。東近美にある‘虫魚画巻’に登場する蜘蛛、雨蛙、蛾をみていると小さい頃の夏休みの遊びが甦る。この画巻に描かれている薊(アザミ)はほかにもあり、三渓園が所蔵している。細かいとげが痛々しい感じがよくでており、アザミでえらい目にあったことが思い出される。

風景画では東近美にある‘出雲江角港’に一番魅了されているが、藁ぶき屋根の質感に目が点になる漁村早春’(愛知県美)やまだ縁がない‘松江風景’にも関心が向う。この絵は御舟の‘潮来所見’と似た静けさに包まれており、鑑賞欲を刺激する。東近美が所蔵しているが、これまで平常展示ではみたことがない。


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