葛飾北斎(1760~1849)の回顧展を2005年、東博ではじめてみ
たとき、手に入れた図録にワシントンのフリーア美が所蔵する肉筆画が10
点掲載されていた。フリーア美にある日本画コレクションはチャールズ・
ラング・フリーア(1854~1919)の遺言により他館へ貸し出すこと
ができない。これを知っていたので、2008年この美術館を訪問したとき
図録にでていた肉筆画に期待していたが、世の中そう上手くはいかない。
1点も展示されてなく、‘蟹尽し図’をみることは叶わなかった。
そのため、浮世絵では唯一販売されていた絵葉書‘富士と笛吹童図’をミュージ
アムショップで手に入れ、心を鎮めた。構図が決まっているこの笛吹童子は
アメリカのファンにも人気があり、年配の夫人もレジにもっていっていた。
2015年、宗達展をみるため再訪した際も期待で胸を膨らませていたが、
姿をみせてくれなかった。でも、‘雷神図’が飾ってあったのでこれでよしとし
た。北斎のベスト10に入るこの笛吹童子が日本にないのが残念でならない!
奈良県美が所蔵する肉筆画‘瑞亀図’になかなか会えない。老夫婦は長寿を告げる吉兆とされた瑞亀が現れたので大喜び。おもしろいのは瑞亀の長い尾毛と勢いよく湧き出る清水がダブルイメージになっていること。この躍動感に視線が釘付けになる。来年、また京都旅行をしたら、奈良にも足を運ぶかのしれないので、美術館に展示の動きがあるかチェックするつもり。
2017年、大阪のあべのハルカス美で開催された‘北斎ー富士を超えて’で展示替えのためみれなかったのが2点ある。これまで美術本でお目にかかったことのない‘梅に鶯’。所蔵しているのはパリにあるギメ美。質の高い浮世絵コレクションで知られるギメ美にこんないい北斎があったとは!流石である。肉筆画の‘ほととぎすと虹図’は個人コレクターがもっている。これもみたかった。