ロランの‘行列のできたデルフィの眺め’(1660~75年 ドーリアパンフィリ美)
‘メディチ家の別荘のある港の風景’(1637年 ウフィツィ美)
ダヴィッドの‘ヘクトルの死を悼むアンドロマケ’(1783年 ルーヴル美)
‘サン・ベルナール峠のナポレオン’(1801年 マルメゾン宮殿)
ロンドンのナショナル・ギャラリーにはイギリスで人気の高い二人の画家の絵
が一緒に飾られている部屋がある。ターナー(1775~1851)の‘ディー
ドーのカルタゴ建設’とフランス生まれのロラン(1604~1682)の‘海港
ーシバの女王の上陸’。ターナーはロランの熱烈な崇拝者でロランの光に満ちた
詩情豊かな風景画に魅了されていた。
ロランの風景画に関心があるのはギリシャ神話やローマ神話の舞台がとりあげられ、古代遺跡と港がセットで描かれることが多いから。ナショナルギャラリーで‘シバの女王の上陸’同様、見ごたえ十分の‘デロス島のアエネアス’をみたときはいつかデロス島へ出かけてみたくなった。今、狙っているのは美術館を訪問したのになぜかみれなかった‘行列のできたデルフィの眺め’(ローマ ドーリア・パンフィーリ美)とウフィツィにある‘メディチ家の別荘のある港の風景’。
はじめてのルーヴルで記憶に強く残る絵はやはりガイドブックに必ず記されている絵。ダヴィッド(1748~1825)の‘皇帝ナポレオン一世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠’もそのなかに入っている。ナポレオンの首席画家となったダヴィッドはルーヴルへ出かけないと縁が生まれないが、‘戴冠式’の印象が強すぎてほかの絵の前では鑑賞のエネルギーが弱くなるところもある。そのため、画家と距離が縮まるのは数度の訪問を経てからになる。
ダヴィッドに‘済みマーク’をつけるのに欠かせないピースは最初に描かれたナポレオンのサン・ベルナール峠越えの絵。そして、ブリュッセルにあるベルギー王立美が所蔵する最晩年の傑作‘マルスとヴィーナス’。この美術館は2度訪問したのに、どういうわけか対面できなかった。普段は展示してないのだろか。ダヴィッドに200%魅了されたのは‘サビニの女たちの仲裁’(ルーヴル)。だから、ここに描かれた女性たちの悲しみの表情がかぶる‘ヘクトルの死を悼むアンドロマケ’も見逃せない。