東博で開催されている‘本阿弥光悦の大宇宙’(~3/10)にまた足を運んだ。
館内は予想以上の観客で活気にあふれていたが、この人気はうっかりしてい
て見逃した日曜美術館で紹介されたのが効いているのだろう。事前に出品
リストをチェックし、会期後半の2/14以降に飾られる作品に焦点を絞って
光悦ワールドにたっぷり浸ることにした。そのため、前回みた‘短刀 銘 兼氏
金象嵌 花形見’などすばらしい出来栄えの短刀はさらっとみて、どんどん
進んだ。
展示の目玉のひとつは蒔絵の名品。東博にはたくさんあるが‘芦舟蒔絵硯箱’に
思わず足が止まった。舟は例によって鉛板で表現されている。光悦がこの
意匠の参考にしたのが‘西本願寺三十六人家集’(国宝)の料紙絵の図様。天才
は天才に学ぶとはこのこと。入ってすぐ迎えてくれる国宝‘舟橋蒔絵硯箱’が頭
にこびりついているので‘伝松平伊豆守旧蔵謡本 舟橋’に敏感に反応しつい長
くみてしまう。
展示の最後のひとつ前のところに書と絵画がコラボする作品がずらっと並ん
でいる。個人コレクターが所蔵する‘蓮下絵百人一首和歌巻断簡’は2/27~
3/10までの展示。運よく鑑賞のタイミングがマッチしたが、はじめてみた
かもしれない。ささっと描かれた感じの蓮のイメージがとても爽やか。大き
な収穫だった。
名品揃いでうならせる楽茶碗のコーナーで2/20~3/10まで披露される
‘白楽茶碗 銘 白狐’が目に入った。じつはこの茶碗をみたくてまた出動した
のである。大阪の藤田美に光悦の白茶碗があることはこの回顧展で知った。
これまで光悦の楽茶碗に関心を寄せ続けているのでこれは見逃せないピース。
お陰で光悦の主要なやきものはコンプリートしたような気がする。ミューズ
に感謝!