レンブラントの‘目をつぶされるサムソン’(1636年 シュテーデル美)
カラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’(1600年 サン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂)
レンブラントの‘サムソンの婚宴’(1638年 ドレスデン国立絵画館)
わが家の映画DVDコレクションは終局に近づいており、今後は好きな映画
を繰り返し観て楽しむステージへと入っていく。現在、集まった映画は
全部で320本、西部劇、戦争映画、神話・歴史劇、伝記映画、サスペン
ス、ミュージカル、コメディ、ラヴ・ロマンス、、いろいろ揃った。昨日、
‘レンブラント 描かれた人生’を紹介したが、レンブラント関連の映画を
つい最近もう1本観た。
それは1949年アメリカで製作された‘サムソンとデリラ’(126分
カラー)。一度観た覚えがあるが、どんなストーリーだったか全く覚えて
いないので、とてもおもしろかった。この映画をどうしても手に入れたい
と思ったのはレンブラント(1606~1669)の‘目をつぶされるサム
ソン’を2002年京博で開催された‘大レンブラント展’でみたから。
この絵に運よく遭遇したのは生涯の思い出である。だから、‘士師記’にでて
くる怪力のサムソンがデリラに裏切られてその力の象徴となっている髪の
毛を切られた上目をつぶされるという‘士師記’にでてくる物語をもっと詳し
く知りたい。それにはこの映画を観るのが一番いい。サムソンを演じたい
かにも映画俳優という感じの美男ヴィクター・マチュアはヘンリー・
フォンダ主演の‘荒野の決闘’にも医者くずれの役で出演していたから、前の
めりになった楽しんだ。お陰でサムソンに怪力がどうやって備わったかが
よくわかった。
10数年間、トランジットでオランダのスキポール空港に寄ったとき、
お店でレンブラント本(英語版)を買った。時間がたっぷりあえるのでぱ
らぱらみていたら、2枚の絵が比較されて載っていた。これに驚愕した。
‘目をつくぶされるサムソン’とカラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’。
ありゃー!サムソンと聖マタイがそっくりのポーズで描かれている。そして、
切った髪を手にもって立ち去ろうとするデリラの姿がカラヴァッジョの絵に
描かれた‘ああー、大変だぁー、刺客に殺されちゃう’と手を大きく上げて叫
ぶ男の子(右)と重なる。レンブラントはカラバッジョの絵をみたにちがい
ない!
レンブラントはサムソンをほかにも数点描いている。ドレスデン国立絵画館
でお目にかかった‘サムソンの婚宴’と‘舅を脅かすサムソン’(ベルリン美)
など。婚宴で中央にいるのはサムソンが結婚したペリシテ人の娘セマダール
(デリラの姉)。モデルは最愛の妻サスキア。レンブラントはこのサムソン
の物語への関心が強かったのだろう。