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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 加藤卓男 藤本能道

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Img_0004_20230928225401     加藤卓男の‘三彩花器「爽容」’(1996年 東博)

Img_0005_20230928225401      ‘藍彩彫花文四方鉢’

Img_0003_20230928225401      ‘ラスター彩芥子文六方器’(2000年 茨城県陶芸美)

Img_20230928225501   藤本能道の‘草白釉釉描加彩翡翠図四角隅切筥’(1985年 東芸大美)

Img_0001_20230928225501    ‘草白釉釉描色絵金彩渓流紅葉図長四角筥‘(1990年)

Img_0002_20230928225501    ‘雪白釉色絵金銀彩合歓双雀図六角筥’

陶芸家の作品に接する機会はTVの美術番組と美術館で行われるやきもの展。
絵画とちがって陶芸などの工芸展はそうは開かれないので、陶磁器に目を
慣らすのは美術番組をみるのが役立つ。加藤卓男(1917~2005)
はやきものの番組にはよく登場していたので、どんな作風かは作品の数は
少ないがそこそこインプットされた。

2014年東博で開催された大規模な‘人間国宝展’に加藤卓男の‘三彩花器
「爽容」’が出品された。横で一緒に飾られているのが‘奈良三彩壺’(奈良
時代・8世紀 九州博)。加藤は正倉院三彩の復元を依嘱され、7年間を費やし‘三彩鼓胴’を完成させた。これで会得した緑、褐、白の3色の釉薬を生かして新しい三彩に挑戦したのが‘爽容’。奈良三彩の硬い表現とは異なるほわっとした柔らかさと動きが感じられる三彩である。

‘藍彩彫花文四方鉢’は色が藍一色になり白の地に藍の細い流れが‘爽容’と同
じような調子で描かれている。みずみずしい釉薬の色調が心をとらえて離
さない。ペルシャ陶器のラスター彩を復元した‘ラスター彩芥子文六方器’
も見事な作品。藤本能道(1917~1992)はやきもので絵画表現をおこなった陶芸家。だから、どの作品もぐっと近くに寄ってみてしまう。

作品にはとても長いタイトルがついている。横をむく翡翠に視線が集中する筥には‘草白釉釉描加彩翡翠図四角隅切筥’。勢いよく水がながれる渓流の上を鳥が飛ぶ姿が俯瞰の視点で描かれた四角筥はちょっと蒔絵の硯箱を連想させる。花をつけた合歓にとまる雀が雪白釉によっていっそう引き立てられている筥は鳥や草花の意匠と器面が一体化した見事な絵画的な表現でまさに神業的。本当にすごい!


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