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‘東都富士見三十六景 佃島晴天の不二’(1844年)
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‘東都富士見三十六景 昌平坂の遠景’(1844年)
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‘東都名所 かすみが関’(1831年)
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‘東都名所 両国の涼’(1831年)
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‘江都勝景 中州より三津また永代ばしを見る図’(1830~43年)
尊敬する北斎の‘富嶽三十六景’からヒントを得て国芳が描いた風景画が‘東都富
士見三十六景’シリーズ。エリアを江戸市中に限定し、活気ある生活風俗のなか
に富士をおいている。‘佃島晴天の不二’は確認されている5図の一枚。北斎の
富士とはちがい、国芳は人物を主役にしているところ。ここでは正面に配置し
た富士で安定感をつくり、手前に舟を漕ぐ船頭の動きのある表現と大きな網を
張り漁をする漁師の懸命な力仕事に見る者の視線を釘付けにさせる。
‘昌平坂の遠景’は人々が行き交う賑やかな昌平坂から富士山を描いたもの。
見所は急な斜面を強調した奇抜な構図。こちら側からは馬と男が天秤を担いで
登っており、向こう側では荷車をひく裸の男と武士がようやく坂の頂点にた
どり着こうとしている。この立体的な感覚がとてもいい。同じことを感じるの
が‘東都名所’シリーズの‘かすみが関’。両側に大名屋敷が建ち並ぶ霞が関。左右
対称的な遠近感の構図だが、上り下りの坂道を見事にとらえている。坂の傾斜
が大げさに表現されているので思わず足がとまる。
10図知られるこの‘東都名所’のなかで‘両国の涼’は納涼花火の様子が描かれて
いる。納涼船には客がいっぱいおり、そこへ物売り舟が注文をとりにきている。
遠方の川面では花火が仕掛けられ、火の粉が舞う。タイムトリップしてこんな
光景をまじかにみたくなる。江戸庶民の夏の遊びを巧みな構図で描き切ってい
る。すばらしい!
国芳には子どもの遊びを描いたいい絵がたくさんある。お気に入りは‘江都勝景
中州より三津また永代ばしを見る図’。子どもたちは正月の遊びに熱中してい
る。小さい頃を思い出す凧揚げ、こま回し、羽根つき、ここは隅田川の土手。
左の上に永代橋がみえる。国芳のやさしい心根がうかがえる心温まる一枚。