Quantcast
Channel: いづつやの文化記号
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4079

美術で‘最高の瞬間’! 与謝蕪村 最高傑作‘夜色楼台図’

$
0
0

Img_20230110224601
  国宝 ‘夜色楼台図’(部分 1778~83年)

Img_0004_20230110224601
  国宝 ‘十宜帖 宜秋図’(1771年 川端康成記念会)

Img_0002_20230110224601
  ‘鳶鴉図’(重文 1778~83年 北村美)

Img_0001_20230110224601
  ‘新緑杜鵑図’(重文 18世紀 文化庁)

Img_0003_20230110224601
  ‘飲中八仙図屏風’(18世紀)

日本画に関心が向かう前は与謝蕪村(1716~1783)というと俳句で
有名な人というイメージをもっていた。これがだんだん池大雅とともに文人
画を得意とする絵師という認識が深まっていき、その画風に惹き込まれるよ
うになった。とくに心を打たれるのが晩年に描かれた作品。最高傑作といわ
れる‘夜色楼台図’をはじめてみたとき、200%魅了された。これが蕪村で
‘最高の瞬間’!だった。とても寒そうな雪の舞い散る夜の情景。しみじみいい
絵だなと思う。

京都の北村美が所蔵する‘鳶鴉図’にも感動する。右の暴風雨に飛ばされないよ
う緊張感をみなぎらせしっかり枝をつかむ鳶に対し、左の鴉は二羽が雪のな
か肩を寄せ合い寒さに耐えている。じっとみていうと鳶と鴉の心情についつ
い感情移入してしまう。こういう絵は一生忘れられない。この絵を連想させ
る絵が東山魁夷の作品にあるが、魁夷は蕪村のDNAを受け継いでいるよう
な気がする。

大雅との合作‘十便十宜帖’で蕪村は自然のすばらしさをうたう‘十宜’を担当し
た。そのなかで目に焼きついているのが‘宜秋図’。墨の黒と赤褐色の響きあい
により紅葉する秋の美しさを見事に表現している。ほかにも緑が輝く‘宜春図’
や陽光の照り返しを壁に映るさざ波の光で夜明けを知る‘宜暁図’が強く印象に
残っている。

‘新緑杜鵑図’にみられる木々に使われた点描表現は大雅の‘瀟湘勝概図屏風’と
よく似ている。蕪村は新緑したたる梢の上を夏の訪れを告げ杜鵑(ホトトギ
ス)が飛んでいるところを描いている。‘飲中八仙図屏風’は酒を好む文化人の
気分をよくとらえており、とても味わいのある宴にみえる。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4079

Latest Images

Trending Articles