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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! 現代琳派 傑作選

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  加山又造の‘千羽鶴’(1970年 東近美)

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  福田平八郎の‘花菖蒲’(1934年 京近美)

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  山口蓬春の‘扇面流し’(1930年)

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  前田青邨の‘風神雷神’(1949年 ア―ティゾン美)

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  今村紫紅の‘龍虎’(1913年 埼玉県近美)

明治時代以降に活躍した日本画家たちのなかにも琳派の画風に強く影響され
た画家が多くいる。東近美にもっとも魅了されている現代琳派の傑作がある。
加山又造(1927~2004)が1970年に描いた‘千羽鶴’。みた瞬間に
宗達が書家の光悦とコラボした‘鶴下絵三十六歌仙和歌巻’が頭をよぎる。
装飾的で華麗な琳派の表現は又造にしっかり受け継がれている。いつも言葉
を失ってみている。

京近美でお目にかかった現代琳派の傑作は福田平八郎(1892~1979)
の‘花菖蒲’。これはそう、光琳の‘燕子花図屏風’をすぐ連想する。縦長の画面に
花菖蒲が水路を挟んで斜めに並ぶ光景がとても心地いい。光琳の意匠化され
た燕子花より密度は濃いのに同じように文様の繰り返しのように映る。工芸
的な描写のセンスのよさがこんな名画を生み出した。

山口蓬春(1893~1971)の‘扇面流し’はワシントンのフリーア美で開
かれた‘宗達展‘に出品された。アメリカの美術ファンはこの絵で一気に日本画
の伝統的な雅の世界に誘われたことだろう。勢いよく水が流れるなかを絵が
描かれた扇子が一緒に次から次と流れていく。川が紅葉で真っ赤に染まった
り、扇子がつらなっていくのだから、風流この上ない。

流麗な墨線とたらし込みが琳派を彷彿とさせる前田青邨(1885~1977)
の‘風神雷神’と今村紫紅(1880~1916)の‘龍虎’もドンと琳派の画法を
感じさせてくれる。宗達のおおらかでユーモラスな一面もみせる風神と雷神が
青邨の人間風神雷神にもでているのがおもしろい。そして、紫紅は体の一部を
画面の外にはみだすことにより龍虎の迫力のある存在感を際立たせている。


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