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Channel: いづつやの文化記号
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南米コロンビアの美術家、ボテロって誰れ?

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 ボテロの‘コロンビアの聖母’(1992年)

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  ‘通り’(2000年)

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  ‘踊る人たち’(2002年)

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 ‘マリー=アントワネット(ヴィジェ・ルブランにならって)’ならって(2005年)

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   ‘モナ・リザの横顔’(2020年)

渋谷のBunkamuraで行われている‘ボテロ展 ふくよかな魔法’(7/3まで)
を滑り込みセーフでみてきた。先週、京都と大阪で展覧会をみたので展覧会
チラシのファイルを整理していたら、大事な特別展を忘れていた。それが
ボテロ展。とても関心がありマークしていたのにうかつにも頭のなかから消
えていた。よくみると会期は7/3(日)まで、あとわずかしかないことが
わかり急遽出かけた。

南米コロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ(1931~)は今年
91歳になるが、今も現役バリバリで活躍している。名前と作品を知ったの
は今年1月、BSプレミアムで月一回(土曜、夜7時半)放送されるサイエ
ンス番組‘体感!グレート・ネイチャー’をみていたとき。番組の内容とは
直接関係ないが、首都ボゴタを映す際、街の中心広場に設置されたパブリッ
クアートとしてボテロのつくったまるっこい人物の大きな彫像が紹介された。
ボテロは国民の多くが知っている有名な作家だという。これを覚えていた
ので回顧展のチラシをみたときすぐ反応した。この流れは大好きなマージャ
ンでいうと‘リーチ一発ツモ!’みたいなもの。Bunkamuraは本当にいい仕事を
する!

展覧会のタイトル、‘ふくよかな魔法’はまさにその通り。最初に登場する静物
画、洋梨でもマンドリンでも花でもやわらかく元気よく膨らんでいる。これ
ほどボリュームを感じさせる静物画はこれまでお目にかかったことがない。
そして、人物画になるとその顔や体全体のふくよかさがいっそう目に強く焼
きつけられる。モチーフへの親しみやすさからいうとはポリエステルに着色
して生み出されたニキ・ド・サンファルの‘ナナ像’を彷彿とさせる。

宗教画に見立てて描かれた‘コロンビアの聖母’に強い衝撃を受けた。パロディ
っぽい宗教画だが、みてしまうともその表現はとても新鮮に映り親しみが沸
く。幼児キリストが右手にもっているコロンビアの国旗の小さいこと。国家
の存在はこんなにちっぽけなものだったの?‘通り’をみていて構図が誰か
の絵に似ているなと思った。そう、バルテュスの同じタイトルの絵
(1933年、MoMA)。明らかボテロはバルテュスを意識している。
賑やかな群像風俗画‘踊る人たち’にも思わず足がとまる。人物を一人々をみ
ると無表情なのだが、ふとった男女が体を寄せ合うように密着して踊ってい
れば楽しさや喜びがMAXになっていることは容易にわかる。

最後のコーナーはとてもおもしろい。ボテロがこれまで心を打たれた西洋絵
画の構図を真似て描いた作品が次々と登場する。‘ベラスケスにならって’、
‘ピエロ・デラ・フランチェスカにならって’、‘ルーベンスと妻’、、、、とく
に惹かれたのが‘マリー=アントワネット(ヴィジェ・ルブランにならって)’
と‘モナ・リザの横顔’。ボテロの残像が1年くらい残りそう。


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