千葉県出身の企業家、前澤氏が5/19にツイッターで所蔵するバスキア
(1960~1988)の‘無題’がオークションで約8630万ドル
約110億円で落札されたと報告した。猿の頭蓋骨を連想させるこの絵
は2019年、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開かれた
‘バスキア展’でお目にかかったから敏感に反応した。
前澤氏が2016年に絵を手に入れたときは62億円だったので、48
億円も儲かったことになる。普通の一般市民はこういうお金の話ばかり
目をむきがちだが、うなるほどの資産をお持ちの前澤氏が絵画で儲け
てニコニコ顔ということはなかろう。現代アートのコレクターになるのか
なと思っていたから、あっさり手放したのは意外だった。でも、本人に
とっては予定の行動かもしれない。購入の動機が多くの美術ファンに現代
アートで人気の高いバスキアを見てもらうためと表明されていて、それ
が回顧展への出品などで達成されたのだから。お陰でなかなかみれない
大きなバスキアを見ることができた。前澤氏に乾杯!
ストリートアートの旗手、バスキアとの縁が深くはない。これまでみた
美術館蔵のバスキアはパリのポンピドー、NYのホイットニー、グッゲ
ンハイムと限られていた。MoMA、メトロポリタン、ワシントンナシ
ョナルギャラリーではみたという実感がなく、鑑賞メモにも名前が出て
こない。9年くらい前、TVの美術番組でNYのチェリシー地区に集結
しているギャラリーのひとつ、ガゴーシアギャラリーが紹介され、
バスキアがたくさん飾られていた。いつかここを訪問し、1983年に描
かれた‘イタリアにて’や‘無題’をみてみたい。ただし、まだ売却されてな
かったらのお楽しみ。もうないかもしれない。