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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス!パトロン物語(12)

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 イワン・モロゾフ(1871~1921)

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 セザンヌの‘サン=ヴィクトワール山の平野’(1879年 プーシキン美)

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 セザンヌの‘煙草を吸う男’(1890~92年 エルミタージュ美)

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  ドニの‘ポリュフェモス’(1907年 プーシキン美)

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  ゴーギャンの‘アルルのカフェ’(1888年 プーシキン美)

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  ゴッホの‘刑務所の中庭’(1890年 プーシキン美)

シチューキンの名前がでると一緒に語られるパトロンがイワン・モロゾフ
(1871~1921)。巨漢のモロゾフはシチューキンよりも20歳若
く、セザンヌ(1839~1906)やボナール(1867~1947)、
ドニ(1870~1943)らの絵を熱心に購入した。セザンヌは18点
あり‘サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め’はセザンヌ
が連作のように何度も描いたサンク=ヴィクトワール山の初期のころの
作品。これは日本で披露された。‘煙草を吸う男’は2010年、ロンドンに
行ったときコートールド美でた‘カード遊び’にスポットをあてたミニセザン
ヌ展が開催されており、この絵が出品されていた。セザンヌのトランプ遊
びや普通の庶民を描いた風俗画には大変魅了されているのでテンションが
一気にあがった。

モロゾフはナビ派に傾倒し、1906年モーリス・ド二(1870~
1943)と知り合った。ドニのアトリエを訪ねたモロゾフは神話画
‘バッカスとアリアドネ’が気に入り購入するとともに、この対となる‘ポリ
フェモス’を注文した。ギリシャ神話は多くの画家たちがてがけているが、
ドニ流の神話の表現は日が差す地中海を連想させるような明るい舞台設定
が特徴。一度見たら忘れられない。

作品のコンプリートを願っている画家のひとりに入っているゴーギャン
(1848~1903)は運よくロンドンのテートモダンで大回顧展
(2010年)をみれたので、全点制覇するという途方もない夢をもって
もいいかなと思うようになった。追っかけリストの第一列に載せているの
がモロゾフが所蔵していた‘アルルのカフェ(ジヌー夫人)’。ゴッホも夫人
を描いているが、同じ人物なのに別人のようになっているのがおもしろい。

日本で何度か開かれたプーシキン美展に登場したゴッホ(1853~
1890)の‘刑務所の中庭’をみたときの衝撃がいまもかすかに残ってい
る。刑務所にいる囚人を描いた絵はほかにあっただろうか。刑務所ではな
いが、日本の香月康男が描いたシベリア抑留の絵が頭をかすめる。


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