フェルメールの‘信仰の寓意’(1670~72年 メトロポリタン美)
‘窓辺で水差しを持つ女’(1662~65年 メトロポリタン美)
‘天秤を持つ女’(1662~65年 ワシントンナショナルギャラリー)
‘手紙を書く女’(1665~66年 ワシントンナショナルギャラリー)
国立新美で開催される‘メトロポリタン美展’にはカラヴァッジョ&ラ・トゥー
ルという豪華なペアリングが目玉になっているが、もうひとつ話題を集めそう
なのが西洋絵画関連の展覧会ではキラーコンテンツになっているフェルメール
(1632~1675)。所蔵する5点の中から‘信仰の寓意’がはじめて披露
される。そして、フェルメールファンにはたまらない絵が同じ時期、別の美術
館に登場する。東京都美の‘ドレスデン国立古典絵画館蔵 フェルメールと17
世紀オランダ絵画展’に出品される‘窓辺で手紙を読む女’。こちらも初来日で
修復によって浮かび上がった‘片手を差し上げるキューピッド’が関心の的とな
っている。
メトロポリタンにある他のフェルメールは‘窓辺で水差しを持つ女’、‘眠る女’、
‘リュートを調弦する女’、‘少女’。作品の数が少ないフェルメールを5点も所蔵
しているのだから恐れ入る。幸運なことに全部みたが、展示室で全部揃ってい
たのは2008年のときだけ。人気のフェルメールのためか2013年3点、
15年4点とどれかが欠けていた。すべての絵をコンプリートしようと躍起に
なっている人にこういうのは痛い。
NYはフェルメール追っかけにはもってこいの街。フェメールに会える美術館
がMETからすぐ近くのところにある。ご存知、邸宅美術館のフリックコレク
ション、ここでは‘士官と笑う女’、‘女と召使’、‘稽古の中断’が楽しめる。どれもいい絵で大変気に入っている。日本にはこれまで数多くのフェルメールがやって来たが、ここにある3点は披露されてない。内規で他館には貸し出さないことを決めているのだろう。METとフリックを訪問すれば8点もみれるだから、最高の美術館巡りである。
そして、ワシントンのナショナルギャラリーに足をのばすとさらに3点みれる。
日本にやって来たことのある‘天秤を持つ女’、‘手紙を書く女’と小品の‘赤い帽子
の女’。今現在、フェルメールはコンプリートまであと1点となっている。気長
に待っているその絵は‘音楽の稽古’(バッキンガム、宮殿王室コレクション)。
フェルメールとのつきあいのはじまりは2000年、大阪市美で行われた‘フェ
ルメール展’。お目当ての‘真珠の耳飾りの少女’と念願の対面を果たしたが、一緒に展示されていたのが‘天秤を持つ女’。だから、この絵には特別な思い入れがある。