ピカソの‘ゲルニカ’(1937年 ソフィア王妃芸術センター)
26日の日曜美術館にピカソ(1881~1973)の‘ゲルニカ’が登場した。
このタイミングでなぜ‘ゲルニカ’?と思ったが、スタッフがわざわざマドリ
ードへでかけソフィア王妃芸術センターに飾ってあるこの大作を8Kカメラ
で撮影したためだった。そして、実物の大きさ(縦3.5m 横7.8m)
を再現し、番組のゲストたちにみてもらっていた。
‘ゲルニカ’の本物はこれまで3回みたことがあり、誕生のきっかけとなった
ドイツ軍によるゲルニカ無差別爆撃のことやピカソがこの絵をどういうふう
に仕上げたかについてもだいぶ情報が入っているので、番組に前のめりに
なるということもなく気軽に話を聞いていた。興味深かったのは左上に描
かれている鳥。このモチーフをしっかりみたという実感がない。暗くてよく
見えないのと前にいる牛と息苦しさのためよだれをたらす馬のインパクト
が強烈なので鳥の存在がかき消されている。
1990年仕事でスペインに出張したとき、日曜を利用してマドリードにあ
るプラド美を楽しんだ。ベラスケスやボスの絵など名画の数々を満喫したあ
と、別館に移動して‘ゲルニカ’と対面した。なんとこの大作は防弾ガラスの
囲いのなかに閉じ込められていた!こんなに警備が厳しいとは思ってもみな
かった。1981年NYのMoMAからスペインに帰って来てここで展示さ
れることになったが、ソフィア王妃芸術センターへ移ったのは1991年だ
から、こういうピリピリした精神状態でこの絵をみる最後の年だったのであ
る。ソフィアでも2回みる機会があったが、絵の前にはもう不格好な防弾
ガラスはなかった。
もう一回くらいみてみたいが、海外旅行を再開するときはスペインの優先
順位はどうしてもパリやイタリアより低くなるのでマドリードに行けるか
どうかはわからない。