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ジェラールの‘プシュケとアモル’(1798年 ルーヴル美)
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ピコの‘アモルとプシュケ’(1817年 ルーヴル美)
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カバネルの‘ヴィーナスの誕生’(1863年 オルセー美)
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ブーグローの‘ヴィーナスの誕生’(1879年 オルセー美)
ギリシャ神話にはおもしろい話がたくさんあるから、多くの画家や彫刻家が
関心のあるものを作品にしてきた。フランス新古典主義のジェラール
(1770~1837)とピコ(1786~1868)が描いたのはプシュ
ケとアモルのおとぎ話。ルーヴルにはカノーヴァの彫刻もある。
アモルはローマ神話名でクピドともいう。ギリシャ神話名はエロス、そして
英語名がキューピッド、4つの名前がでてくるからこんがらがってくる。
役どころは愛を司る童神。
ジェラールの絵はじつにきれいな神話画で‘アモルの最初の接吻を受けるプシ
ュケ’とも呼ばれてきた。甘美すぎる絵なので一度見ると忘れられない。
プシュケは王の三人娘のひとりで絶世の美貌の持ち主、そのため美神ヴィーナ
スの嫉妬をかい結婚できなかった。両親は心配してアポロンの神託に尋ねる
と‘花嫁衣装を着せて山頂の岩に立たせよ、彼女の夫は神々さえ恐れをなす者
である’とのお告げが下った。はたして彼女の夫は自分の姿を現さず、夜暗く
なってからやってきて床をともにした。プシュケの幸福を妬んだ姉妹はラン
プに火をともして夫の姿をみるようにとプシュケをそそのかした。で、そう
すると彼女の横に眠る夫が美少年のアモルであることを知った。アモルは
これに気づきあわててその場を逃げ去った。こういう話をもとにしてジェラ
ールはこの接吻の場面を描いた。一方、ピコはプシュケをちょっぴり官能的
な女に仕立て、アモルが眠っているプシュケからこっそり離れるところを描
いた。
‘ヴィーナスの誕生’でもっとも有名なのはボッティチェリが描いたもの。フィ
レンツェ、ウフィツィ美にあるお宝中のお宝の絵である。このヴィーナスに
魅了され続けている。はじめてお目にかかったときがうまいぐあいに修復が
完了した直後だった。だから、ヴィーナスの肌の輝きに心がとろけそうだっ
た。まさに心理学者のマズローのいう‘ピーク・エクスぺリエンㇲ(最高の
瞬間)’。
こういう体験があるとどうしてもカバネル(1823~1889)とブーグ
ロー(1825~1905)の絵は分が悪い。オルセーは3度縁があったが、
最初の頃はこの絵はさらっとみていた。でも、日本で披露されたカバネルの
‘ヴィーナスの誕生’をみたときはなぜか印象がちがい、じっくりみるとカバネ
ル流の表現もなかなかいいじゃないかと思った。絵画体験が積み重なること
で目の前の作品と素直に向き合うことの大切さがわかってきたのかもしれな
い。