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‘オフィーリア’(1851~52年 テート美)
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‘盲目の少女’(1856年 バーミンガム市美)
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‘安息の谷間’(1858年 テート美)
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‘浅瀬を渡るサー・イザンブラス’(1857年 リバプール国立美)
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‘ローリーの少年時代’(1869~70年 テート美)
西洋絵画の世界で画家の名前が頭に入ってくるのは歴史の教科書の芸術関連
で記述される画家たち。ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、
ボッティチェリがまず最初にでてきて、そのあとブリューゲル、デューラー、
カラヴァッジョ、ルーベンス、ベラスケス、ゴヤ、レンブラント、フェルメ
ール、アングル、ドラクロア、クールベ、ミレーが登場し、マネ、モネ、
ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、、、ピカソ、マティス、ミロ、
ダリ、シャガール、マグリット、カンディンスキー、モンドリアン、、と続
いていく。
こういう教養としての絵画から一歩進んでさらに興味をいだき絵をみることが
趣味になってくると、ほかにも凄い画家が存在することがだんだんわかって
くる。イギリスの画家についてははじめは知っている画家はほとんどいなか
った。だから、ラファエロ前派のジョン・エヴァレット・ミレイ(1829
~1896)とフランスの農民画家のミレーの区別がつかなかった。同じく
仲間のロセッティも知らない。イタリア人やフランス人画家ならすぐ何人も
でてくるのに、イギリスの絵画というのはやはり影が薄い。
ミレイが偉大な画家であることを目に焼きつけられたのは1998年、東京
都美で開催された‘テートギャラリー展’に出品された代表作の‘オフィーリア’。
驚かされるのが花びら、草の葉の緻密な細部描写、まるでカラー写真をみて
いるよう。流れる小川に浮かんでいる美形のオフィーリアにも視線は向かう
が、それより緑の草花の顕微鏡的なリアリズムのほうに心を奪われる。
‘盲目の少女’は色鮮やかな虹とワイエスの‘クリスティ―ナの世界’を彷彿とさ
せる細い々黄色の草の描き方が忘れられない。
この2点は女性の生気がとても薄いのに対して、‘安息の谷間・疲れし者の安
らぎの場’、‘浅瀬を渡るサー・イザンブラス’、‘ローーリーの少年時代’はいず
れも人物の目力の強さと画面に動きをつくりだす体の動きにより物語性が生
まれている。これは映画や芝居のワンシーンをみているのと同じ感覚。とく
に‘ローリーの少年時代’で右に座っている船乗りの男が右手を海のほうを指し
ている姿は、ロンドンのナショナルギャラリーにあるカラヴァッジョの‘エマ
オの晩餐’で短縮法を使って描かれた弟子の手を連想させる。