記憶に長く残っている映画は必ずと言っていいほどいい音楽とセットにな
っている。昨日とりあげたグレコリーペックが主演した‘マッケンナの黄金’
では冒頭にモニュメント・バレーを連想させる広大な渓谷をバックに主題歌
が流れる。なかなかいい曲で一流の歌手が3番くらいまでところどころ鼻声
にかかる甘い声で歌っている。だから、何度も観ているのにこの歌をまた聴
きたくてビデオを再生する誘惑にかられるのである。同じく西部劇のジョ
ン・ウェインの‘黄色いリボン’(1949年)でもあの有名なメロディが流
れるとつい口ずさんでしまう。
‘第三の男’(1949年)にも有名なテーマ曲が流れる。演奏に使われている
のはツィターというギターとマンドリンの合いの子みたいな楽器。エビス
ビールが宣伝にこの曲を使ったことで山手線の恵比寿駅でも聴くことができ
る。この音楽が長いこと耳に馴染んでおり、またウィーンのプラーター公園
にある大観覧車も乗ったことがあるのに、実はこの映画はまだみてなかった。
情報としてあの名優オーソン・ウェルズが出演していることは知っていたが、
どういうわけか縁がなかった。そんなとき、ブックオフで‘誰が為に鐘は鳴る’
(1943年)、‘シェ―ン’(1953年)、‘駅馬車’(1939年)、‘黄色
いリボン’(3本セット)、‘第三の男’が低価格(300円から500円)で
並んでいたのでまとめ買いした。
映画をみたあと二重丸がつくものはさらに詳しく知ろうという気持ちが強く
なりウィキペディアをチェックすることにしている。ほかにも世の中には映
画好きの人がたくさんいるから、感想記がいろいろ書き込みされている。
また、YouTubeで映画ものをサーフィンしていると大変情報量の多い番組
がでてきた。映画評論家の町山智浩氏が映画をみる前とみ終わったあと上映
された映画を解説している。話が大変おもしろい。いっぺんでファンになっ
た。おそらく町山氏が映画評論家では第一人者だと思う。昔、淀川長治という
映画評論家の代名詞みたいな人がいて映画の楽しみ方を教えてくれたが、
町田氏も映画にかかわった人たちや、製作にあたっての脚本づくりや撮影の
苦労や俳優の起用についての監督の考え方、その映画があとの作品に与えた
影響などをとことん語ってくれる。映画を愛している真のプロはここまでしゃ
べり、劇場に集まった映画ファンにヒントを授けてくれるのか、という感じ。
ネタバレになるので映画の内容にはふれないが、舞台は第二次世界大戦後、
米英仏ソによる四分割統治下にあったオーストリアの首都ウィ―ン。
My‘記憶に残る映画’に即登録した。‘第三の男’とはそういうことだったのか、
オーソン・ウェルズがこんな悪党を演じていたとは。どんな悪事をはたらき金
を儲けていたかはみてのお楽しみ!