最近は以前ほど足を運ばなくなったデパートで開催される展覧会だが、まっ
たくスルーするといい企画展を見逃すことになるのでときどきはチェックを
入れている。これまで出かけた回数の多いのは日本橋高島屋、三越、横浜
そごう、ほかには銀座松屋、東京駅大丸、横浜高島屋でもいろいろ楽しませ
てもらった。
日本橋高島屋で忘れられないのは1984年と1997年と2度にわたって
披露されたロンドンのコートールド美が所蔵する印象派コレクション。まる
で西洋美並みの豪華な特別展でマネやゴッホ、ゴーギャンらの名画を目を
白黒させてみた。このころはデパート価値のある美術エンターテイメントを
発信する重要な場所だった。
日本の美術シーンの一角を担っていたそんな高島屋には史料館があり、衣裳
関連のものや日本画の優品をもっている。日本画で有名なのは横山大観
(1868~1958)の‘蓬莱山’、縦2.32m、横2.4mの大作で大観
展の欠かせないワンピースになっている。そして、竹内栖鳳(1864~
1942)の‘アレ夕立に’は代表作のひとつ。顔をみせない女性画は好みでは
ないが、この舞妓は例外扱い。
北野恒富(1880~1947)の描いたポスター、‘たかしまや飯田呉服店’
は2017年千葉市美であった回顧展で遭遇した。うっとりするような京舞妓
美人の前では心がザワザワする。海外のコレクターの間では高く評価されてい
る神坂雪佳(1866~1942)の‘光琳風草花図屏風’にも魅了される。