猫を描いた画家ですぐ名前がでてくるのは浮世絵師の歌川国芳、河鍋暁斎、
藤田嗣治(1886~1968)、加山又造。ア―ティゾンには藤田が
3点あり、その一枚が‘猫のいる静物’。大原にある藤田はアンソールの仮面
の絵をみているような‘舞踏会の前’なのに対して、この絵の猫はわれわれの
身の回りでおきている猫の行動そのもの。海老、カレイ、玉ねぎ、リンゴ
、、美味しそうなものがたくさんあるのでどれから食べるか迷うにちがい
ない。
抽象絵画はとっつきが悪いので落ち着いてみれるようになるには時間がか
かる。パリのポンピドーやNYのMoMAに足を運ぶまではまずは日本の
美術館で目馴らし。全部が揃っているわけではないが、大原やア―ティゾン
には美術の本で知った有名な作家の作品が並んでいる。フォートリエ
(1898~1964)の‘旋回’もそんな作品。青の地にただクリップをい
くつも斜めにおいたイメージだが、じっとみているとこの白の楕円の形が動
いているのではと錯覚する。
ジャコメッティ(1901~1966)の一風変わった薄っぺらな人物彫刻
は一度見ると忘れることはない。‘ディエゴの胸像’は彫刻は真正面からみる
ことが決まっているわけではないことを教えてくれる。たしかにこの胸像は
横からみると鼻が高く目の彫りが深い西洋人の姿が強烈に焼き付けられる。
ジャコメッティはどこから刺激をうけてこんな彫刻をつくることを思いつい
たのだろうか。
現代ア―ティストの大物、ポロック(1912~1956)の‘ナンバー2、
1951’をコレクションしているのは流石だが、もっと感激するのは中国人
作家のザオ・ウ―キー(1921~2013)の作品を揃えていること。
2005年、ここで回顧展があり‘07.06.85’を立ち尽くしてみていた。
どの画家の作品とつながるか画家のファイルをフル回転でチェックすると
ターナーの絵を抽象的に変容するとこんな感じになるかなと思ったりもする。
さらに心を沈潜さすとウ―キーの生まれた中国の先人である牧谿の‘瀟湘八景
図’が頭をかすめる。