今、映画界は大ヒット中の‘鬼滅の刃’で大盛り上がり。でかける予定はないの
だが、物語の時代設定が大正と聞いてちょっと反応した。すぐ思い浮か
べたのは竹久夢二(1884~1934)。代表作の‘黒船屋’のコピーを書斎
の壁に貼って毎日眺めているので、大正時代というと条件反射的に夢二の美人
画がでてくる。
東大のすぐ近くにある弥生美・竹久夢二美は夢二好きにとって訪問必須の
美術館、これまで4回くらい足を運んだ。地下鉄千代田線の根津駅から
歩いて7分くらいのところだから気軽に行ける。夢二の美術館はここと岡山と
伊香保にあるが運がいいことに3館とも縁があった。また、回顧展は女性客を
楽しませるためデパートが主催するものも含めてかなりの数を体験したため
図録が積み重なっている。
ここの夢二で心を打つのが亡くなる2年前、旅行中のベルリンで現地のモデル
を使って描いた‘水竹居’。ドイツ人の女性を描いたといっても夢二式美人は目
が大きくくりっとしていることが多いので、近年観光で京都に来た欧米の
観光客が着物姿で歩くイメージはなくすっと絵の中に入っていける。
三幅対の‘松竹梅’はほかの美術館でみられない貴重な作品。中央の舞妓はよく
みるとちょっとヘン、足が着物で隠れているので幽霊が宙に浮かんでいるよう
な感じ。‘この夜ごろ’は夢二お得意の赤の着物が目に焼きつく。色白の女性は
赤が美しさを引き立てるとよくいわれるが、この絵はそれを実感させる。
弥生美と夢二美はひとつの建物で展示の部屋が分かれているだけ。弥生美が
所蔵している作品は‘おぼろ夜’などの鏑木清方(1878~1972)の美人
画が以前からインプットされている。そして、3年前千葉市美であった北野
恒富(1880~1947)の回顧展で4点と遭遇した。お気に入りは‘初雪’。