今年みた展覧会のベスト10を選んだ。出動回数は40ちょっとだから、以前ほど10に絞りむに苦労しなくなった。でかける展覧会は減っているけれど、それによってアートライフのテンションが下がっているわけではない。その逆でいい展覧会を心の底から楽しむことが多く、芸術の力が日々のくらしを豊かなものにしてくれている。いつものように選んだ10の展覧会には順位はつけない。開催された順番に並んでいる。
★‘エル・グレコ展’ 1/9~4/7 東京都美
★‘円空展’ 1/12~4/7 東博
★‘狩野山楽・山雪展’ 3/30~5/12 京博
★‘貴婦人と一角獣展’ 4/25~7/15 国立新美
★‘プーシキン美展’ 7/6~9/16 横浜美
★‘アメリカン・ポップ・アート展’ 8/7~10/21 国立新美
★‘竹内栖鳳展’ 9/3~10/14 東近美
★‘ターナー展’ 10/8~12/8 東京都美
★‘カイユボット展’ 10/10~12/29 ブリジストン美
★‘光悦展’ 10/26~12/1 五島美
展覧会のタイプとしては一人の作家に光をあてる回顧展に鑑賞エネルギーの大半が注がれており、テーマ型のものにでかけるのは追っかけ画がでているときだけ。だから、感動の総量が大きい展覧会だけがここに残ってくる。
そして、これが一番の決め手なのだが、追っかけ画をはじめとして初見の作品が沢山でていたものは感動は頂点に達する。このためすでにみている作品が多い‘ラファエロ展’(西洋美)はすばらしい回顧展だったが、選からは外れる。
今年はじめて体験する回顧展が3つあった。カイユボット、竹内栖鳳、そして今村紫紅。夢中になってみたのが竹内栖鳳とカイユボット。栖鳳展を開催した東近美は上村松園展と同様実力をみせつけた。そしてカイユボット展を企画したブリジストン美、予想を大きく上回るいい作品が次から次とでてくるのでびっくりした。忘れられない展覧会になった。
ビッグネームのエル・グレコとターナーの回顧展をみれたのも特筆もの。グレコの晩年の傑作‘無原罪のお宿り’とターナーの光輝く‘レグルス’には体が震えた。こうした傑作が日本でみれたことを心から喜んでいる。そして日本の展覧会シーンはすごいなと思わずにいれないのがパリのクリュニー中世美からやって来た‘貴婦人と一角獣’。噂通りの美しいタピスリーに心を奪われた。
日本画の大収穫はなんといっても京博で行われた‘狩野山楽・山雪展’、一度みている作品もかなりあったが、アイルランドから里帰りした‘長恨歌図巻’などがみれたので大満足。山雪のすごさを再認識した。京博に次期待したいのは池大雅展、これも是非実現して欲しい。